チームを辞めたい男【3000文字チャレンジ】

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こんにちは、霧島もとみです。

またまた3000文字チャレンジをお届けします。

今回のお題は「チーム」です。2019年流行語大賞の「One Team」を受けたであろう壮大なタイトルにどんな記事が書かれるのか?凄く興味が湧いてくるところです。

ところで「クラウチ!バインド!セット」って何なんだろう?

とまあそんな事を思いながら「チーム」について考えてみたところ、気が付けばいつものようにしょうもないネタが浮かんできてしまい、ダラダラと書いてしまいました。

「チームを辞めたい男」という話です。

時間を無駄にしてもいいよという方は、ぜひご覧ください!

 

チームを辞めたい男

「お前、チームを辞めたいって話、本当かよ」

…ああ、本当だよ。辞めようと思ってる。

「なんでだよ。これまで一緒にやってきたじゃないか。考えなおしてさあ、もう一度一緒にやっていこうぜ、オイ」

…もう決めたんだよ。

「そっか…。分かったよ。じゃあさ、せめて理由を聞かせてくれないか」

…理由?

「そうだよ。何か理由があって辞めるんだろ?それを聞かせてくれよ」

…聞いてどうするんだよ。

「俺達、楽しくやってたじゃないか。お前だって、いつもみんなの飲み物とか食べ物とか買いに行ってくれてたじゃないか

…だからだよ!

「えっ?」

…お前ら自分たちがレギュラーなのをいいことに、いつも俺に買い出しに行かせてばっかりだっただろ?しかも後輩もいるのに、俺ばかりに行かせてさあ。俺は買い出しするためにチームに入ったんじゃないんだよ。

「待てよ。それは誤解だよ」

…誤解?

「そう、誤解だって」

…どんな誤解だよ。

「だってお前、みんなの飲み物とか一発で覚えられるじゃん。他の奴は絶対間違えて買ってくるけど、お前はそうじゃなかった」

…確かにそうだけど。

「だから頼むのチョー楽ちんだったんだよ(笑)」

…って、ふざけんなよ!

「ふざけてないよ。アレだよ。その…適材適所だよ

…そんな適材適所、いらないよ。

「それにお前だって、買い出しがトレーニングになるって喜んでたじゃないか」

…それは、お前らに気を使ってたんだよ。

「気を使う?」

…お前らが「いつも悪いな」って思わないようにさ、俺なりに気を使ってたんだよ。

「なんだ、そうだったのかよ」

…そうだよ。

「大丈夫だよ。全然悪いって思ってなかったから(笑)

…思ってなかったのかよ!どういう神経してんだよ!やっぱり辞めて正解だよ、こんなチーム!

「まあまあ落ち着けって。悪かったことは謝るからさあ」

…何を謝るってんだよ?

「そうだな、例えば…」

…例えば?

「うーん…」

…??

「悪い。特に無かったわ」

無いのかよ!

「え、逆になんかある?」

…いや、そう言われたら別に無いけど。

「ホラ無いんじゃん〜」

…そういう態度!それが腹立つの!

「分かった分かった。それは謝る」

…ったく、ノリが軽いんだよ。

 

「でもさあ、やっぱりチームからお前がいなくなるのは寂しいよ

…えっ?

「チームはさ、全員でチームだろ?試合に出る奴もいれば、それを後ろで支えるメンバーもいる。監督もコーチもいる。皆で一つの目的に向かって頑張るのがチームじゃないか」

…それはそうだけど。

「だからさあ、もう一度チームで頑張ろうぜ」

…そのチームの目的が、アレなんだよ。

「えっ?」

…チームの目的が、俺の目指すのとはちょっと違うんじゃないかって思ったんだよ。

「どういうことだよ?」

…うちのチームの目指すところって何だった?

「ハハハ!そんなの当然知ってるよ」

…じゃあ言ってみろよ。

「おう。『ノリで楽しもう!』だよ」

それだよ。普通さあ、県大会優勝とか、ベスト8目指すとか、チームの目的ってそういうもんじゃないの?

「そうなの?」

…そうじゃないの?

「でもさあ、ウチは普通の公立校だし、メンバー集めてる私立とかには勝てっこないじゃん」

…そんなことないだろ。

「いやいや、あいつら練習の鬼だぜ?戦ったって勝つのは難しい。だから俺たちのチームは、違う勝ち方で勝負してるんじゃないか」

…違う勝ち方?

「勝負に負けて、楽しさで勝つ!

…やっぱり変だろ。

「そうかな?」

…俺は確かに補欠だよ。頑張ってるけど、選手のお前らと比べたら負けてるのは自分でも分かってる。だからチームを支える役割ってのも理解してるつもりだよ。

「え?それなら…」

…でも、勝負に勝とうとしない奴らを支えるのって、張り合いもやりがいがないんだよ。そんなチームに、俺はもう、俺の情熱を注げないってことに気付いたんだ。だから俺は…。

「お前…」

…俺は…。

「やっぱノリが悪いって!あと考え過ぎ〜」

…お前らが考えなさ過ぎなの!いいんだよ、とにかく辞めることはもう決めたんだから。

「辞めてどうすんの?」

 

…え?

「チーム辞めて、これからどうするのって聞いてんだよ」

…そりゃあ、あれだよ。

「中華料理でバイトすんのか?」

…なぜ中華料理??

「イヤほら、お前注文覚えるの得意だろ?だからあれやるのかなって思ってさ。ほらあの、『ご注文繰り返します!チンジャオロースにホイコーロー、定食でいいですね?ミソミソ、タンメン、そちらは大盛り〜』ってやつ!」

…何それ?

「知らないの?有名なシーンじゃん」

…全然分かんないよ!

「あの華麗な注文さばき、俺好きなんだけどな〜」

…知らないったら知らないの!

 

「で、何すんの?チーム辞めてから」

…それはアレだよ、受験勉強だよ。

じゅ、受験勉強?

…そうだよ。大学受験に向けて、本格的に勉強を始めるんだよ。

「そっか、受験勉強かあ…」

…月並みだけどな。俺にはその方が合ってると思ってさ。

「で、どうするんだ?」

…え?

「受験勉強して、プロ目指すのか?

…プ、プロ?

「何にでも一生懸命なお前だ。やるからには目指すんだろ、受験勉強のプロを」

…いやいや、受験勉強にプロとかないから。

「じゃあ何で受験勉強すんだよ!」

…大学に行くためだろ。

「お前、何か間違えてるよ」

…えっ?

「そんな中途半端な気持ちで受験勉強できると思ってんのか?」

…どういうことだよ?

「よく聞く話だよ。受験勉強するからチーム辞めるって話はさあ。でも実際それで成績が上がったって奴の話は聞いたことがない。結局そういう奴は、受験勉強を言い訳にしてるだけなんだよ。俺は、お前にそんなやつになって欲しくないんだ」

…なんだお前、本当に心配してくれてるのか…。

「だから、本気ってところを見せてほしいんだよ。さあ言ってくれよ、『俺は受験王になる!』ってルフィみたいに決意してくれよ!」

…じゅ、受験王って何なの?

「プロ中のプロ。それが受験の王様だろ?」

…だからそれが何なのって。

「うーん。8浪とか?

…なぜ8浪!

「それぐらいやれば、みんな認めてくれると思うぜ」

…ある意味、そうかもしれないけど。

「8浪もしたらノウハウも貯まるじゃん。勉強のコツとか、学校選びのコツとか。そしたら商売にすることもできるじゃん」

…普通に無理だろ。

8浪が教える失敗しない勉強法!とか売れるぜきっと」

…失敗しまくってる!説得力なさすぎだろ!

8浪・8つの法則とかは?」

…何を学べと!

浪人力!

…そんな力、いらない!

「じゃあクラウドファンディングだな。8浪から逆転合格したいので受験料をお願いします!」

…リターンは?

「8浪グッズをお届けします!」

縁起悪!ていうか8浪の話はいいよ!俺は現役合格目指してやるんだから!

浪人王も最初はそう言ってたんだけどな…」

…受験王じゃなくなってるし!いい加減にしろ!

「止めても駄目なんだな」

…ああそうだよ。

「どんなに止めても駄目なんだな」

…ああそうだよ。

「そっか。俺じゃあ力不足だったな」

…すまないな。

「でも、俺だけじゃなかったらどうする?

…えっ?

「お前にチームを辞めて欲しくないのが、俺だけじゃなかったらどうするって聞いてんだよ」

…どういうことだよ?

「それは直接聞いてくれよ」

…えっ、まさか…

「おーい、みんな来てくれよ!

…ちょ、ちょっと待てよ。

 

「……」

……

 

「って、別に来てないけどな」

来てないのかよ!

「そうやって言ったら驚くかなって思って」

…ああ驚いたよ!お前の適当さ加減にな!

「なあ、どうやっても辞めるのか?」

…ああ辞めるよ!逆に決意が固まったよ!

「頼むよ。お前がいなくなったら、これから誰が買い出しに行くんだよ

…結局それかよ!

やめさしてもらうわ!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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