結婚披露宴では参加者も衣替えをする?【3000文字チャレンジ】

衣替え。

この言葉から瞬間的に連想したのは中学校・高校の衣替えでした。ある日を境に全校生徒の制服ががらっとその姿を変える。久しぶりに身を包む制服に新鮮さを感じながら、まるで季節の移り変わりがその身に宿ったような高揚感を味わっていたなあ…なんて遠い昔を思い出しました。

でも、そんな事を書くのは私らしくない。

一般的な衣替えについてもたくさんのブロガーさんが面白い記事を書いていて全く勝てる気がしない。

さて何を書こうか…と考えあぐねてしまい「今回も無理はやめよう」とスルーを決め込んでいたのですが、珍しいかもしれない?衣替え体験のことを思い出したので書いてみることにしました。

 

その衣替えとは、結婚披露宴の衣替えです。

 

いやそれ、衣装直しのことでしょ?という心の声、ありがとうございます。

確かに結婚披露宴では衣装直しがあります。

一般的には新婦が数回。オシャレな夫婦では新郎も衣装直しをすることがあるかもしれません。

でも私が今回書くのは、主役たる新郎新婦のことではなく、ゲストである参加者としての衣替えの話です。

 

皆さんは結婚披露宴に参加したことはありますか?

無いという方は、いつか参加する時のため虚心坦懐に聞いてください。

あるという方はその記憶を思い出してみてください。

その結婚披露宴であなたは衣替えしましたか?

 

おそらく「衣替えなんてしていない」という方が大半ではないでしょうか。

家を出る時からスーツに身を包み、結婚式、結婚披露宴、ついでに2次会や3次会までそのままの衣装で参加されていたことと思います。

ですが、私はゲストとして参加した結婚披露宴の多くで、衣替えをしてきました。

新郎新婦もびっくりの衣替えを行い、結婚披露宴の盛り上がりに貢献してきました。

 

何となく分かってきました?

そう。私が行ってきた衣替えとは、ずばり結婚披露宴での余興のための衣装チェンジです。

そんな私のいくつかの衣替えを紹介させていただきます。

衣替えその1:上半身裸+パンツTバック状態+股間に半紙

まず最初に紹介させていただくのがこちら。

 

上半身裸+パンツTバック状態+股間に半紙

 

半紙には書道で文字を書きました。何だったかな。「上等」とか「抜群」とか、そんな感じの2文字熟語だった気がします。

パンツTバック状態というのは、ブリーフパンツの裾?の部分をくるくると巻き上げてTバックっぽくデコレーションした状態のことを言います。

男の子であれば、誰もが一度は小学生くらいの時に「おすもうさん!」とやったことがあるスタイルではないでしょうか。

これに加えて股間に半紙を垂らすことで、ふんどしのような、化粧まわしのような、非常にダンディなスタイルが完成します。

私ともう一人、東と西の2名の横綱がこのスタイルで余興に臨みました。

後の余興メンバーは普通の格好です。

 

当然ですが、余興の最初からこのスタイルでは登場しません。

最初からこんな格好で登場したらただの変態です。

 

余興は他のメンバー(彼らは普通の格好)が当時の流行歌に新郎のあるあるネタで替え歌を唄う、というごくごく普通のものでした。結婚披露宴としては定番ネタのため、これでもきっと楽しんでもらえるよね、という余興だったと思います。

でも、私たちはそれでは満足できませんでした。

一生に一度の結婚披露宴、新郎にも新婦にも思い出に残るものにしたい。

他の参加者にも喜んでもらえるものにしたい。

そのこだわりが、東西横綱2名を用意し、会場内を縦横無尽に踊り散らかすという演出を生んだのです。

それも途中でドン!とインパクトのある登場をさせたい。会場を沸かせたい。私たちは、斬新な方法を考え出しました。

 

まずは横綱スタイルを作ります。

次に、あらかじめ前後にカッターで切断したスラックスとワイシャツをその上から着せて、分かりにくいようにセロハンテープで止めます。

「おぼっちゃまくん」のびんぼっちゃまを前後つなぎ合わせたイメージです。

あとは前後から衣装を引っ張ればセロハンテープが剥がれ、中から横綱スタイルが現れるという仕掛けです。これにより瞬時の衣替えを実現しました。

 

歌の盛り上がりの瞬間、突如として出現するほぼ全裸+股間に半紙を垂らした男!

 

紅白歌合戦の氷川きよしもびっくりな早着替え!

 

これには会場も大興奮!

 

新郎・新婦の友人層だけでなく、親戚のおじちゃんおばちゃんたちからも大歓声をいただき、好評のうちに余興を終えることが出来ました。

 

苦労したのはこの衣装への着替えです。

秘密裏に着替えなければならず、また、セロハンテープが剥がれるおそれがあるため出来るだけ会場に近い場所でなければならなかったんです。

幸いにも会場の好意で、式場のすぐ裏にあったスタッフさん用のスペースを使わせていただくことができました。

スタッフさんが行き交うすぐ横でいそいそとブリーフを巻くのは何とも恥ずかしかったですが、今となってはいい思い出です。

衣替えその2:小島よしお

次に紹介させていただくのがこちら。

 

小島よしおスタイル(ただしブリーフ)

 

水着がわりにブリーフを履いた状態です。

格好自体にインパクトがある訳ではないのですが、印象深い衣替えだったので紹介させていただきました。

というのが、異例ではあるのですが、披露宴の余興をするにあたって新郎からこんな依頼があったんです。

 

「新婦の父がとても厳格な人なので、下ネタとか、下品なネタはNGでお願いね」

恐る恐る聞きました。

「脱ぐのは…?」

即答でした。

「もちろんNGだよ!」

 

困りました。しょせん私たちはエンタメの素人。飛びぬけて面白くはない普通のネタを、脱ぐという非日常的な演出を加えることで爆発的な笑いを取ってきていたのに、それを禁止しようというのです。

翼をもがれた鳥。

浜辺に打ち上げられた魚!!

相方が不祥事を起こしたお笑いコンビの片方!!!

しかし私たちは諦めませんでした。

脱がないという事は、ある意味、これまでの自分たちがやってきた余興への誇りを捨てることに他ならなかったのです。

それに自信もありました。

私たちの余興は決して下品ではない。下ネタでもない。

ただまっすぐに馬鹿なだけなのだと。

 

しかし最終的に腹を立てるかどうかは、新婦に父の判断です。これは私たちにはどうすることも出来ませんでした。7つの習慣で言えば「影響の輪」の外側の問題。

万が一にも新婦の父を怒らせて披露宴を台無しにしてはいけない。

最終的に決行するかどうか、式場で実際に新婦の父の様子を見て判断することにしました。

 

結婚式が終わり、披露宴が始まります。式は和やかに進行していきますが、私たちの心中は全く穏やかではありません。

 

脱ぐか。脱がないか。

 

To be, or not to be.

 

その事だけが思考を占領しています。

 

「それではご歓談ください」というアナウンスで会場内を立ち歩く参加者が出始めると、隙を見て、私たちのグループは新婦の父・母に酒を注ぎにいきました。

「おめでとうございます!」

「いつもお世話になっています!」

的な世間話と満面の笑顔でご機嫌を取りつつ、その対応と雰囲気を必死で観察しました。

爽やかな好青年たちが皆「この人は脱いでも怒らない人なのだろうか?」と考えながら酒を交わす光景はなんとも滑稽かもしれませんが、私たちも誇りを懸けていたので必死でした。

 

その後、作戦会議。

皆の総意としては「たぶん大丈夫じゃね?」という感覚。

そこで私たちは、新郎のオーダーに背くことを決意したのです。

 

To be.

 

脱いでも大丈夫だよね!

 

ということで冒頭の小島よしおスタイルを決行したのです。

その1バージョンに比べれば少々大人しい恰好ではありましたが、誇りを保ちつつ攻める紳士的なラインということでの選択でした。

それ以上は許されない雰囲気もあったんですよね。ちょっと。

それだけに通常なら「えっ?その程度?」と思われるかもしれない小島よしおスタイルでも十分すぎるウケがありました。

 

もちろんフォローも忘れません。

余興後、すかさず新婦父のところへ行き「大変失礼しました!」とご挨拶。

「いやあ、少し驚いたけど、面白かったよ」と笑っていただけました。

うううっ。

大変だけど、衣替えをやってよかったなあ、と思う瞬間でした。

そのほかの衣替えもあるけど・・・

結婚披露宴での参加者の衣替えといえばやはり余興だと思いますが、もう一つ衣替えのチャンスがあります。

キャンドルサービスです。

まず、キャンドルサービスが始まる前にテーブルの皿を全て片付けます。

そして会場が暗くなるやいなや、各々が暗闇に便乗して衣替えを始め、思い思いのポーズで人間キャンドルと化していきます。

新郎の席だけで足りない時は、先輩の席や、新婦側の席に出張することもありました。

この衣替えのことも書きたかったのですが、冷静に考えたらちょっと書けないような内容のものもあり、既に3000文字を超えてしまったので省略させていただきます。

 

ちなみに結婚披露宴で使われるロウソクはそれ用の「低温ロウソク」ではないため、普通にロウが熱いです。むちゃくちゃ熱いです。「熱っ!!熱っ!!」と声が出るレベルなので気を付けてください。

 

なんか懐かしい。

思い返せば、どの結婚披露宴もとても楽しく、新婦・新郎も喜んでくれていたと思います。

会場のスタッフさんはひょっとしたらヒヤヒヤしていたかもしれませんが、きっとどこでも同じようなことが敢行されていた時代だったので、お互い「一線は超えない」という紳士ルールのもので暖かく見守ってくれていたと思います。

それが結婚披露宴での参加者の衣替えだったのかな。

今の時代ではちょっと奇異に映るかもしれませんが、アラフォー以上の方にはひょっとしたら共感していただけるかもしれないというわずかな期待を込めて、この記事をアップさせていただきます。

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