階段が上がれなくなる日は突然に【3000文字チャレンジ】

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こんにちは、霧島もとみです。

今回は3000文字チャレンジのお題【階段】について、私自身に起こった出来事を書いてみたいと思います。

普段何気なく上り下りしている階段という空間。

日常に溶け込んでいた空間が、ある日を境に非日常の空間と化した・・・という話です。

なおこの記事にはアドバイザーとして、階段評論家の皆川恭也さんにお越しいただきました。

皆川さん、どうぞよろしくお願いします。

「よろしくお願いします。僕のことは恭也と呼んで下さい」

あ、分かりました。

階段トーク開始

「それではまず、階段の種類について説明しましょう。階段には大きく分けて4種類あります。直階段・かね折れ階段・折り返し階段・らせん階段の4種類ですね。

それぞれメリット・デメリットがあります。機能だけでなくインテリアにも影響しますので、どんな家を作りたいのかという全体イメージを膨らませたうえで最終的には選んでいくのがいいですね」

…はい。あのですね。

「見た目を優先するか、安全を優先するかという話もあります。まあ、階段で転落するという事故は少ないように思いますが、厚生労働省の統計(2016年)によると、同一平面ではない階段などからの転落で年間695人が亡くなっています」

…えっ、意外と多いんですね。

「そうです。交通事故が5278人ということを考えると、あながち少ないとも言えないですね」

…なるほど、階段は危険だと。

「いえいえ。そう安直に考えるのはだめですよ。実は、スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒で亡くなった方が5788人で最多なんです。まあ、もちろん移動の頻度が階段の比ではないので、危険はいつどこにでもある、油断大敵ということかもしれませんね」

…なるほど。

「でもとりあえず、小さなお子様がいらっしゃる家庭でしたら、やっぱり転落のことは頭をよぎるでしょう。だから正直、かね折れ階段は安全面からオススメしないですね」

…かね折れ階段ってどういうものですか?

「途中で90度曲がる階段のことです。一番やっちゃいけないのが、下り口のところで90度曲がってて、そこから下までは直線上のかな折れ階段ですね。90度曲がってるところって、踏み外しやすいじゃないですか。何か考え事でもしてたら一発ですよ。そこでアレッて滑ったが最後、一番下までストトトトーンと転がり落ちて…なんて考えるだけでゾッとしますよね」

…なんか危ない感じですね。そんな危険そうなもの、普通作らないんじゃないですか?

「いえいえ。普通にあります。モデルルームでも見かけることだってありますよ」

…えっ。それはどうして?

「やはり間取りの関係ですね。リビングや寝室など、普段生活するスペースをどうしても優先してしまいますから、その結果、階段の形を妥協して…ということが多いです。階段で過ごす時間なんてちょっとのものですからね。難しいところです」

…なるほどですね。

「ところでもとみさんの家の階段はどうなってますか?」

…あっ、はい。うちは折返し階段です。

「ほほう。また何で」

…はい。間取りの全体的なバランスと、自分がうっかりしたところがあるので、万が一足を踏み外した時にも途中で止まるかなっていう2つの理由からですね。

「なるほど。随分弱気ですね

…えっ?

「そんな弱気でどうするんですか。セイラさんなら『軟弱者!それでも男ですか!』ってビンタ張られてますよ?」

…なぜ急にセイラさん。

「いいですか。人間はイメージで動くんです。勝つと思えば勝つ。負けると思えば負ける。階段で踏み外すと思えば、踏み外すんです

…そんなことないですよ。

「じゃあ、踏み外したことないんですか?」

…ありますけど。

「ほらほらほら〜。やっぱりそうじゃないですか。こーの軟弱者!」

「まあ、そんな軟弱者の貴方には折返し階段で良かったかもしれないですね。実際に踏み外したとき、大した怪我にはならなかったんですか?」

…はい。抱っこしていた子供をはずみで落としかけましたが、大した怪我にはなりませんでしたね。アハハ。

「こ、子供!!」

…はい。

「自分だけでなく、子供を落としたんですか!!オーノー信じられません!!」

…落としたんではなく、落としかけたんです。

「階段失格ですね」

…えっ?

「階段失格です」

…失格?

「あなたは階段として失格です!自分だけでなく、小さな子供までをも巻き添えにして!!階段を一体なんだと思っているんですか!この恥知らず!階段知らず!

…階段知らずって初めて聞きました。

「もういいです!そんな階段知らずなあなたは、いつまた階段から転倒するか分からないから、罰として階段の両側に手すりをつけておきなさい!」

…もう付いてますけど。

「えっ?」

…うちの階段、両方に手すりが付いてます。

「何で付いてるんですか?」

…片方だけ付けてってお願いしてたんですけど、出来上がったら両方に手すりがついてたんですよね。

「それって施工ミス…

…まあ、取り外すのも手間だしいいかなって思っちゃって。でも意外と便利ですよ。

「まあ、あなたがおっちょこちょいだっていうのを見抜いていたんでしょうね。結果オーライで良かったじゃないですか」

…はい。ところで、今日は別に階段の安全面のことを書くつもりではなかったんですが。

「え?そうなんですか?何の話?階段フェチ自慢とかやめてくださいよ」

…階段に性的興奮は覚えません。そうじゃなくて、僕の体に起きた変化の話です。

階段が上がれなくなる日は突然に

「体に起きた変化?階段と何か関係があるんですか?」

…はい。ある日突然、階段が上がれなくなったんです。

「上がれなくなった?」

…正確に言うと、以前と同じように上がれなくなったという事です。

「じゃあ最初から正確に言ってください。上がれないっていうと、普通、全く上がれなくなるって思っちゃいますよね?ウソ・大げさ・紛らわしいでJAROに訴えますよ?

…少々いいじゃないですか。ちょっと急ぎの用事で走って上がろうとしたとき、2歩目の足が思うように上がらず、その場にへたり込んでしまったんです。あれ、おかしいなと思いました。

その瞬間です。そういえば…と急に思い出しました。

「スーパーで洗剤買うの忘れてた、とか?」

…違います!最近、なんか体が変だったなってことです。妙な筋肉痛がずっと続いていたり、洗濯物を干す時にうまく持ち上げられなかったり、書類を棚から持ち出す時に異常に重たく感じたりとか、そんなことです。

そして階段での出来事。僕は、ひょっとして筋肉が弱っているんじゃないかなって思ったんです。

「単に運動不足じゃないの?」

…いや、むしろ運動はしてたんですよね。ジムに通って筋トレに有酸素運動もしてましたから。プロテインも飲んでたし。筋肉が増えるなら分かるけど、弱るなんてこれっぽっちも思ってなかったですね。

でも、階段がいつもどおりに上がれなかった。

その事で急に現実を突きつけられたような気がして、今までの日常が急に自分から離れていくような感覚があって、大きな不安が襲ってきたんです。

「で、結局何だったんですか?」

…はい。病気でした。筋肉が弱っていく病気でした。膠原病の一種だそうです。

「へえ。どんな病気なんですか?」

…放っておくと筋肉が弱り立つことも出来なくなるそうですが、投薬治療でうまくいけば一定ラインで落ち着き、日常生活に復帰できるそうです。ただ他の病気を併発することがあるそうで、それによって色々と変わってくるので何とも言えないみたいですね。

「ありゃまあ、それは大変」

…突然のことで驚きました。

「でもまあ、よくある話ですよね」

…えっ?

「急な病気や事故でどうにかなるって、普通にある話じゃないですか。あなたの周りの人でもいるでしょう?年齢もある程度になってくると、癌とか心筋梗塞とか、あるいは残念だけど交通事故とか、災害とか、起こりうる話ですよね」

…ま、まあそうですね。

「だからまあ、それがあなたに起こっただけの事で。大したことないんじゃないですかハハハ」

いやいや、大したことですよ。治療次第でどうなるか分からないし、治療が上手くいったとしても、これまでみたいに激しい運動とか出来なくなるんですよ。ゴルフもスノボーもジム通いも出来ない、マラソンに出ることも出来ない。スポーツの楽しみを根こそぎ失ってしまうんですよ。悲しいじゃないですか。

「マラソン出たことありましたっけ?」

…いや、ないですけど。いつか走りたいな、みたいな。

「絶対走らないやつでしょソレ」

…それに死ぬかもしれない。

「人間はいつか死にますよ。そうこう言っているうちに、明日宇宙から超巨大小惑星が飛来して、北半球ごと吹っ飛ぶかもしれないじゃないですか」

…そんな可能性が低い話。

「そう。可能性の話ですよ。病気のこともそう。あくまで可能性でしかない。だから例えば私ができるのは起こった目の前の現実、この瞬間に対峙するということだけです」

…未来のことを予測してもしょうがないと?

「予測するのと、可能性に溺れるのは違いますよ。それよりも優先して大事なのは、目の前の現実にどう向き合うかという、真摯な態度だと思います。そのうえで自分が何を選び取っていくのか、それが生きることではないでしょうか」

…なんかいいこと言いますね。階段評論家なのに。

「階段は4種類だと言いました。いえね、階段だって、その家に完全に調和した理想の階段は出来るんですよ。でもそれには、色々な環境が必要です。はっきり言えば、土地と予算です。この2つが無尽蔵にあるのなら、理想の家をデザインする中で理想的な階段をデザインすることは簡単なんです。

でも、実際にはそうじゃないことが多いんですよ。予算が限られる。予算が限られるから、土地も限られる。間取りが制限される。じゃあ予算を増やすかって言っても、家計のトータルバランスを考えるとやっぱりそれは無理ってなる。

出来る範囲のなかで、出来ることを選ぶしかないんです。

だから直階段だろうと、かね折れ階段だろうと、結果として選んだその階段は、その家にとって唯一無二の階段になるんです。

そういうことなんですよ。

ただ一つ言わせてもらえば、階段の床材は絶対に安上がりにしたら駄目です。少なくとも前後の廊下と同じグレードで統一してください。家の雰囲気が全然違うものになりますから」

…ええと、つまり。

「今の状況を冷静に受け止めて、何が出来るのか、何がしたいのかを考えたらいいってことじゃないですか?」

…なるほど。

「だからこうやってブログなんて書いてるんでしょ?」

…まあ。そうかもしれませんね。

ていうか暇なんでしょ?ダラダラ入院生活送ってるもんだから、こうやって暇つぶしするとか、モンストで運極作るとか、Amazonプライム・ビデオで映画見るとか、そんなことばっかりして楽しんでるんでしょ?」

…ちょっと言い方が。。。

「まあ、なるようにしかならないわけです」

…はい。何だか分かりませんが、ありがとうございました。

では最後に、階段評論家の恭也さんに階段で締めていただければと思います。

「はい。

書類を大量に抱えた状態で階段を踏み外すと、運命を嘆きたくなる。

いま踏み出しているのは右足なのか左足なのか。

それが問題です」

 

…最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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