神様になりたかった男【3000文字チャレンジ】

こんにちは、霧島もとみです。

毎度おなじみ3000文字チャレンジの時間です。

今回のお題は「神様」です。

神様とは、なかなか意味深なお題。

真面目に論じるのも可ですし、日常に溶け込んだ日本人的な感覚ならではの「神様」について書くのも面白そう。そうそう、一昔前は「トイレの神様」という歌が流行しましたね。そういえばトイレの神様っていったい何なんだろう…。

さて、今回の3000文字チャレンジはまたまたネタにチャレンジしました。

神様という題で何か笑えるものを…と思い悩む日々を過ごしていたところ、アイデアが、いや、啓示を受けたのでそれを記事にしました。

くれぐれも真面目に読まないでください。

いつものように、時間を無駄にしていいよ!という方だけお願いいたします。

それでは3000文字チャレンジ「神様になりたかった男」スタートです!!

神様になりたかった男

登場人物:

神様になりたかった男、山田琢磨。

その友達、皆川恭也。

はじまり、はじまり!

 

(琢磨)…なあ、聞いてほしいんだけど。

(恭也)「ん?何だよ急に」

…俺さあ、神様になることにした。

「神様?」

…ああ。神様だよ。だってさあ、税金かからないし、皆に崇められるし、無敵じゃね?って思ったんだよ。

「なんか色々間違ってるような気もするけど。で、どうやってなるんだよ?」

…ああ。いい本を見つけたんだよ。これだ!『完全教祖マニュアル』!!これでもう完璧。今日から俺は、神様だ。

「はあ…」

…ん?どうしたんだ?溜息なんてついて。

「分かってないなあ」

…ん?何が?

「お前は神様について何も分かっていない」

…どういうことだよ。

「いいか。教祖と神様は違う。本のタイトルもそうだろ?お前がなろうとしてるのは教祖で、神様じゃない」

…そっか。俺は間違ってたよ。神様はなるものじゃなくて、誰かが本人の意志とは関係なしに「神様にする」もんなんだな。

「そうそう。無理だって理解してくれた?」

…ああ。俺が間違ってたよ。

「分かってくれて良かったよ」

…よし!じゃあお前が教祖になって、俺を神様にしてくれたらいいってことだな!

「そうそう…。じゃなくて!なんでそうなるんだよ!」

…だってさ、神様は自分じゃなれないじゃん。自分でなるんじゃなくて、誰かに祀ってもらってはじめて神様になるってことだろ?だからお前が教祖として俺を祀ってくれたら、俺、神様になれるじゃん。

「お前何を言って…」

…俺、何か間違ったこと言ってるかな?

「いやそうじゃなくてだな…」

…神様になりたいって俺のこの純粋な気持ち、間違ってるのかな?

「間違ってはないけど…」

…子供の頃からの夢を叶える方法が見つかったのに、それを目指しちゃいけないのかなあ!?

「こ、子供の頃からの夢??は、はああっ!!」

 

ーーこの時、恭也の全身をドンと雷のような衝撃が走り抜けた。当時のことを振り返って、われらが開祖・恭也師はそう語られたーー

 

「すまなかった。オレが間違ってたよ!!俺、おまえのために教祖になるよ。教祖になってお前を崇めて、お前を神様にしてやるよ!!」

…分かってくれてありがとう。

「で、いつからなるんだ?

…えっ?

「いつから神様になるんだって聞いてるんだよ」

…いつからって、そういえばちゃんと考えたこと無かったなあ。とりあえず大学卒業して、ちゃんとした会社に就職して、貯金を1000万円くらい貯めてからかなあ」

「この大馬鹿野郎〜〜!!」

バキッ!!

…い、痛い!急に何するんだよ!!

「そんな甘々な考えでどうすんだよ!!お前、神様になりたいって言ったのに。子供の頃からの夢だって言ったのに。いつからなるとか全然考えてなかったのかよ。あげくの果てに就職とか貯金だとか…。そんなんじゃ神様どころか、情弱な社畜になるのが関の山ってもんじゃないかよ」

…でもさあ、なれるかどうかもまだ分からないし。冒険する前には準備が必要だしさあ。

「この大馬鹿野郎〜〜!!」

バキッ!!

…い、痛い。二度もぶったね…。親父にもぶたれたことないのに!!

「殴ってなぜ悪い!なれるかどうか分からないとか言うから、目を覚ましてやったんだよ。いいか、神様ってのはなあ……」

…神様ってのは??

「なれるなれないじゃない。なるか、ならないかなんだよ!

…ああっ、な、なるほど。そうだな、俺が間違ってたよ。

「そしていつから神様になるかって話だけど。これももう、分かってるだろ?」

…ああ、分かった気がするぜ。

「よし。では今一度、問うとしよう。いつ神様になるの?」

…今でしょ!……って、もう今から神様になるの?

「ああ、そうだよ。たった今から、この瞬間から、お前は人間じゃなくて神様になるんだ」

…まじかよ!そんな急に…。まだ何の心構えも出来てないのに…。それに一体どうやってなるんだよ?

「決まってるだろ?」

…ま、まさか…。

「神様になる方法はたった一つさ。幸いここにナイフがある。これを使えば簡単だろ?フフフ…」

…おい、目が危ないって。ちょ、ちょっと待ってくれよ。早まるなよ。な、な?

「いや。もう俺は誰にも止められない。俺は教祖になって、お前を神様にするんだーーー!」

 

ーーそう言うと、我らが恭也師は、取り出したナイフを高々と天に掲げた。そして構え直すと、我らが最高神・タクマに向きなおり、一気呵成にナイフを突き出した。ナイフは最高神・タクマの顔面の横をすり抜けて、にぶい音とともに後ろの壁に突き刺さったーー

 

…お、お前…。まじかよ…。

「今、人間だった琢磨は死んだ。今ここにいるのは、我が最高神、数多の神の中で最も尊い神、タクマだ」

…そうか、俺は死んだのか…。

「そうだ。さあ、我に啓示を」

け、啓示?

「神の役割は、その声を聞く預言者に神の意思を示すこと、すなわち啓示を与えることだ。今ここにおわすのは我らが最高神・タクマ。ならば!今こそ我に啓示を与え賜え!」

…いや急に言われても困るし…。

「さあ!啓示を!与え賜え!!」

…一体何を言えばいいんだ…。はっ、そ、そうだ。俺には『完全教祖マニュアル』があった!教祖は恭也だけど、要は教祖がやるべきことを啓示したらいいんだよな?よし。何かいい啓示ネタは…あ、あった!

「与え賜えーー!!」

し、信仰を広めよ。これは最高神の命令である。

「おお!今、わたしに神の声が聞こえたぞ。確かに神の声で私に『信仰を広めよ』と命令なさった。神よ!御名をお与えください!」

…えっ?山田琢磨だけど。

「おお!神はまだ人だった頃の記憶が残っておられるようだ。だが、私がいただきたいのは神としての御名であります。聞かせたまえーー!」

…神としての名前?えっと…何だっけ?

「(馬鹿!そこは『最高神・タクマ』でいいんだよ!)聞かせたまえーー!」

…わ、我が名は最高神・タクマである。

「おお、聞こえたぞ!」

…そりゃ聞こえるだろ。いちいち大袈裟だなあ…。

「愚かな私にお教えください。最高神・タクマとは、どのような存在なのでしょうか!」

…えっ?何だろ…。ていうかさ、お前がさっき言ってたんだから分かるだろ?

「おお神よ!預言者は神の言葉を聞くための存在であります。尊き神のことは、私のようなただの人間には分からないのです。どうかお言葉を!」

…うん、まあ、神様だよ。

「なるほど!では、どのような神なのでしょうか。最高神と名乗られたからには、やはり、最も尊き神であられるのでしょうか!」

…いや、最も尊きとかさあ、いきなり失礼すぎない?神としても新参者だし、俺も神が何かとか良く分かってないしさあ。

「おお神よ!お言葉の途中でありますが、わたくしがこれから虚空に向かって独り言を喋ることをお許しください!」

…ん?別にいいけど。急に独り言とか危ないからやめた方がいいよ。

 

「…はあ。全然分かってないよな。これからのし上がって行こうって奴が、失礼だとか、新参者だとか…。だいたいなあ、新参者だからこそ、ザクザクに尖ってないと弱者を引き付けられねえんだよ!そこらへんの宗教と同じようなもんじゃ、信者なんて全然増やせないっつーの。

『そこまで言うか?』という緊張と、『信じれば救われる』という緩和。これが演出できないような神様じゃ底が知れてるな。

最低でもさあ、『最も新しい神にして、最も価値を創造する神である』とか、『世界の終末から救う存在である』とか、それぐらいは言ってくれないとやってらんねーっつーの。

そうなったら俺も考えないとな…。あーーー。どうしよっかなーー!!!」

 

…わ、我は、最も新しい神にして、最も価値を創造する神である…。そ、そして…えっと…世界の終末から人間を救うために現世に現れた、か、神である。

「おお!誠ですか神よ!なんと尊き神よ!」

…とりあえず、これでいいみたいだな。良かった良かった。

「では、さっそく、信仰の教えをお示しください!」

…えっ、お、教え?

「そうです!神よ!尊き教えを我に授けたまえ!」

…いや、急に言われてもなあ…。

「教えを!」

…えっと、うーん…。

「おお神よ!お言葉の途中でありますが、わたくしがまた、これから虚空に向かって独り言を喋ることをお許しください!」

…えっ、また?別にいいけど。

 

「あーもう、面倒くさい。全然駄目。いちいち聞くのやめた方がよさそうだな。だいたい、俺の方が全然宗教への理解が深いし、論理的な哲学を組み立てることも上手いし、もういいや。全部俺が作ることにしよう」

 

…あれ?何かキレてる感じ?

「ということで、もう俺にお任せでいいよな?

…う、うん。いいけど、あれ、独り言じゃなかったの?

「とりあえず神は作ったから、次に教えを作ると。社会のマジョリティにあえて挑戦的な内容にして、かつ弱者に対して希望を持たせるようなヤツだな。勤め人を社畜とか言って情弱を引き寄せるのと同じ感じで大丈夫だろう。で、次は…」

…どうでもいいけど、それってネット界隈で見かける光景のような気が…。

「うん。大体構想は整った。じゃあさあ、とりあえずサクッと中心教義を明日までに作っとくから、それを読み込んどいてくれな」

…お、おう。

「で、それをベースに無理矢理にでもバズらせて信者を獲得しにいくから。お前は時々登場してもらうことになるから、その時にボロを出さないようにくれぐれも注意してくれよ」

…あの、俺って一応、最高神だよね…?もうちょっと神様って敬うもんじゃないのかなあ?

え?俺がいなくてお前神様になれるの?俺以外の誰かが教祖になって、信者を獲得して、お前を神様としてあがめてくれるの?それ逆にスゲーよ。ぜひそうしてみたら?」

…いえ、なんでもないです。

「分かればいいんだよ。で、次にだな…」

…なんか俺、本当に神様なのかな?

「何言ってんだよバーカ。お前以外の誰が最高神だっていうんだよ!お前なら絶対にやれる。そのためのノウハウは俺がちゃんと提供するから、お前は大船に乗った気持ちで神様してれば大丈夫だって」

…本当にそう?

「子供の頃からの夢なんだろ?大丈夫。俺を信じろって。夢をかなえようよ。縛られた日常から自由になろうよ」

…そうか、夢だったよな。

「そうだろ?最高神、タクマ」

…おお。おおおお。そうだ!我こそは、最高神・タクマだああああ。

「そうだ、その調子だ。さあ、これから忙しくなるぜ…ニヤリ…」

 

その後、最高神・タクマがどのような人生、いや、神様生を送ったかは誰も知らない…。

 

というわけで、3000文字チャレンジ「神様」でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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