「ごめんで済めば警察はいらない」は大嘘。金輪際使ってはいけない!【3000文字チャレンジ】

こんにちは、霧島もとみです。

3000文字チャレンジです。

今回のお題は「ごめんなさい」なんですが、これは困りました。ぱっと思い付くものが何もありません。

そんな時にはどうするかというと、ノートに向かって何でもいいのでアイデアを書き出します。

以前に「3000文字チャレンジの書き方・チョコレー党編」という記事で書いたやり方です。


タイトル画像
3000文字チャレンジの書き方・チョコレー党編

こうすることで最初は何もなかったところから次第に形ができ始め、それをヒントにさらにアイデアを膨らませると3000文字チャレンジを書くことが可能になります。

そうして今回も無事に一つのアイデアを形にすることが出来ました。

それでは3000文字チャレンジ「ごめんなさい」をお届けさせていただきます。

※一見真面目に書いていますが、もちろんネタですので予めご了承ください。

「ごめんで済めば警察はいらない」は大嘘。金輪際使ってはいけない!

この記事では、

「ごめんなさいで済めば警察はいらない」

略して

「ごめんで済めば警察はいらない」

へのツッコミを語ります。

 

あまり略になってなくて恐縮です。でもこれを最初に入れておかないと、3000文字チャレンジ「ごめんなさい」の条件をクリアできないので許してください。

 

ではさっそく本題に入りましょう。

結論から言います。

 

「ごめんで済めば警察はいらない。」

 

この言葉は大嘘です。

めちゃくちゃ嘘です。

皆さん、今日から一切、この言葉は絶対に使わないと約束してください。

 

って、急にそんな事を言われてもびっくりしますよね。分かります。僕だって「何言い出したんだコイツ」って驚くと思います。

あまりにも有名なこのフレーズの何が嘘なのか。
なぜこの言葉を使っては駄目なのか。

この3000文字チャレンジを読めば、「ごめんで済めば警察はいらない」を今後使っては駄目な理由が分かりますので、ぜひ最後まで読んでください。

はじめに:言葉への認識の甘さを自覚しよう

まず最初にお伝えしなければならないことがあります。今日の前提になる大事な共通認識の話です。

それが何かというと、

「言葉への意識が甘すぎる」

という事実です。

 

ほとんどの人は「言葉」というものを正確に認識せずに使っています。正確な意味や定義を明らかにしないまま、感覚的に使ってしまってるんです。

失礼かもしれませんが、事実です。

僕に言わせれば「ごめんで済めば警察はいらない」のフレーズを使ってしまっている人は、もう言葉の意味なんて全然気にしていない人ですね。

大きな勘違いに気付かないまま生きている人です。

ドラゴンクエスト4っていうロールプレイング・ゲームをご存知でしょうか。

それで言うと、デスピサロにザラキを唱え続けるクリフトのような事をやっちゃってます。それに気付いていないんです。ラスボスに即死魔法なんて効くはず無いのに、おかまいなしで唱え続けちゃう。

これ大変ですよね。
そうこうしてる内に全滅しちゃいますよ。

 

そうならないためにどうすればいいか。

言葉は、認識のフィルターを通して、意味を噛み砕いて十分に理解してから使わないと駄目なんです。そのために、

「言葉への意識が甘すぎる」

という事を、まず認識してもらえたらと思います。

 

それでは「ごめんで済めば警察はいらない」の話に進みます。

1.そもそも警察とは?

”ごめんで済めば警察はいらない”

このフレーズのキーワードは、「ごめん」と「警察」の2つです。

まず「警察」について考えてみましょう。

 

そもそも警察とは何でしょうか?

一言で説明するとどういうものですか?

 

こう質問されたとき、きっちり説明できる人ってほとんどいないと思います。

多分こうなります。

「警察が何って、そりゃ、あれだよ。……警察だよ」

これって全然説明になっていませんよね。

 

どうでしょうか?あなたは説明できますか?

安心してください。私も全く説明できませんでした。だからググってみることにしました。

分からないこと、知らないことはまずググることです。このひと手間が大きな差を生みます。

そして分かりました。

警察とは、

警察法(昭和22年制定)を根拠に作られた組織で、「国民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ること」を責務としています。

詳しく見ていくとキリがありませんが、概要はこれで掴めます。興味がある方はこの機会に警察法とその関連法令を調べてみてください。私は今のところこれ以上の興味がないので、このまま話を進めさせていただきます。

さて、警察の責務とされている事項をもう一度見てみましょう。

・国民の生命、身体及び財産の保護
・犯罪の捜査
・被疑者の逮捕
・公安の維持

凄いインパクトのある言葉が並んでいます。
でも何となく、どれも「ごめん」では済まなさそうなものばかりです。

 

では次に、「ごめん」について考えてみましょう。

2.「ごめん」とは何か

ごめんについてもググってみました。

goo国語辞書がヒットしましたので引用します。

”1 正式に免許・認可することを、その決定を下す者を敬っていう語。「名字帯刀がご免になる」「天下ご免」
2 役職などを解かれることを、その決定を下す者を敬っていう語。「お役がご免になる」
3 嫌で拒否する気持ちを表す語。もうたくさん。「戦争は二度とご免だ」
4 過失などをわびるときや許しを乞 (こ) うときに言う語。「遅くなってご免」
5 他家を訪問したり辞去したりするときに言うあいさつの語。「ご免、お邪魔するよ」「では、ご免」”

以外と意味が多くて焦りました。

しかしこの記事では「ごめんなさい」がお題なので、4番の「過失などをわびるときや許しを乞 (こ) うときに言う語。」の意味として扱うことにします。

つまり、許しをこう言葉です。

もうしません。許してください。
反省していますので許してください。

これが「ごめん」の意味とします。

 

さあ、これで「ごめん」と「警察」、2つのキーワードが明らかになってきました。

これを踏まえてもう一度「ごめんで済めば警察はいらない」の意味を整理するとこうなります。

”許しを請う言葉で済むのなら、(国民の生命、身体及び財産を保護するために)犯罪の捜査・被疑者の逮捕・公安の維持を行う組織はいらない”

どうでしょうか。

何か違和感を覚えてきたのではないでしょうか?

それではいよいよ、「ごめんで済めば警察はいらない」の嘘に迫りたいと思います。

3.「ごめんで済めば警察はいらない」の嘘を明かす

その前に断っておかなければならない事が1つあります。

それは、「ごめんで済めば警察はいらない」は、論理的には正しいという事です。

えっ、嘘だって言ったよね?
なのに正しいってどういうこと?

惑わせてすみません。

でもそうなんですよ。これ、実際には何の意味もないことを、言葉の論理性で意味があるように思わせる嘘のテクニックなんです。

論理的に正しいことの証明

簡単な数学で証明しましょう。
対偶というものがあります。

一つの命題が真のとき、その対偶も真であるというのが数学の論理です。

興味があればググってみてください。

で、「ごめんで済めば警察はいらない」の対偶は「警察が必要なときはごめんで済まない」になります。

対偶を考えると、問題がクリアになって分かりやすくなる場合が結構あります。
今回はまさにそうです。

簡単にわかりますよね。
警察が必要なとき。警察がその権限を発動する時って、もう、ごめんでは済みませんよね。

ということは対偶が成立します。となると本来の命題である「ごめんで済めば警察はいらない」も数学的には正しいという事になるんです。

これで証明完了です。

Q.E.D.です。

でもね、これはあくまで数学的な命題として正しいかどうかという話であって、実際に意味があるかどうかとは別の話なんです。

実はこの言葉には何の意味もないんですよ。

だって、警察を他の言葉に置き換えても成立するんですから

例えば警察を「消防車」に置き換えてみましょう。

命題:ごめんで済めば消防車はいらない
対偶:消防車が必要なときはごめんで済まない

「消防車が必要なとき→火事が起こっているとき」ですから、当然ごめんでは済みません。火にいくら謝っても消えてくれません。

ということは対偶が真となり、命題「ごめんで済めば消防車はいらない」も真となります。

 

どうでしょうか。なんかモヤモヤしてきませんか?

何言ってるか良く分からないってなってきてませんか?

ごめんで済めば警察はいらない
ごめんで済めば消防車はいらない

という2つの言葉。どちらも命題としては正しいのに、なぜか「消防車」と言われると物凄く違和感を感じていると思います。

その違和感、正解です。

そう。ここに言葉のトリックが隠されているんですよ。

言葉のトリックとは?

それが何かというと、

全体としては間違っている文章なのに、部分的に論理的に正しい文章を入れることで、その全体が正しいように錯覚してしまう

というトリックです。

 

まず背景として、「ごめんで済めば警察はいらない」という言葉が使われる場面を考えてみましょう。

・悪いことをして、誰かに「ごめん」と謝っている。
・謝られた人間が、それは許せない態度を示したいと思っている。

こんなときに「ごめんで済めば警察はいらない」という言葉を使いますね。そして、お前は許されないような悪いことをしたんだという強いプレッシャーを掛けていくわけです。

 

ではもう一度ロジックを考えてみましょう。

 

お前はごめんと俺に謝った。
だが、ごめんで済めば警察はいらない。そして社会には警察があるから、ごめんでは済まされない。
だからお前の「ごめん」は許されない。

 

んん?

 

全体では正しいような感じがしつつも、何かが違うような違和感を感じませんか?

その違和感は正解です。

一見論理的に正しいように思えるこの文章には、トリック=嘘が仕掛けられているからです。つまり、本当は間違った文章なんです。

その嘘がどこにあるかというと、

「ごめん」

という言葉の意味が途中で巧妙にすり替えられているんです。

 

”お前はごめんと俺に謝った。”・・・この言葉の「ごめん」は、発言主の許しを得るための「ごめん」です。

”ごめんで済めば警察はいらない。”・・・この言葉の「ごめん」は、警察に犯罪の捜査・被疑者の逮捕・公安の維持を行わないことを求めるための「ごめん」です。

本来は意味が全然違うのに、同じ「ごめん」という言葉で表現されている。

そして「ごめんで済めば警察はいらない」という言葉の論理的な正しさと、「警察=悪いことと関係ありそう」というイメージの結びつきやすさが、このすり替えに気付かなくさせて、文章全体が正しいかのような錯覚をさせるんです。

ついでにいえば、「警察」という恐ろしい言葉を使うことで、相手から冷静な判断力を奪うという意図も隠されています。

ゆっくりと説明したり、考える時間を与えたりしたら嘘に気付かれますからね。

「ごめんで済めば警察はいらない」

という一言は、そんな恐ろしい嘘が隠されている言葉なんです。

 

これって怖くないですか?

 

気付かずに使っていたという方も多いと思います。気付かないうちに、あなたは真っ赤な嘘で他人を恫喝する、そんな罪とも言えるような行いをしていたのかもしれないんです。

これが、言葉への認識が甘いことの恐ろしさです。

だから今日からは金輪際使うのをやめましょう。

 

でもそうしたら、今日からはどう言えばいいのか。そう悩んでしまう方もいるかもしれません。

でも大丈夫です。この記事では、今日から使えるアクションプラン=正しい言葉を一緒に紹介させていただきます。

4.「ごめんで済めば警察はいらない」の正解はこれだ!

では本来は何が正解なのでしょうか。

 

結論から言いましょう。

 

「ごめんで済めば民事訴訟はいらない」

 

これが正解です。

 

この場合の「ごめん」で求められているのは、謝られた本人が許すか許さないかという問題です。

つまり、当人同士の民事的な問題なんです。そしてこれを解決するものが何かというと、民事訴訟です。

心情的には「裁判所はいらない」と言いたいところですが、裁判所は民事訴訟以外にも多くの事案を処理していますので、そう言うとまた嘘になってしまいます。

だから、「ごめんで済めば民事訴訟はいらない」が正解になるんです。

 

という事で、「ごめん」と謝られても許せない時には、今日からはこう言いましょう。

 

「ごめんで済めば民事訴訟はいらない」

 

・・・

どうでしょうか。

ひょっとして、「だからどうした?」って感じでしょうか?

大丈夫です。僕も全く同じことを感じています。

論理的には全く正しい言葉なのに、なぜかしっくりこない。

「裁判に訴えるということですね。分かりました。それでは訴訟文が届いたら弁護士と相談して回答を…」

みたいな展開が予想できて、コントみたいな感じすらしてしまうかもしれません。

 

本当に不思議です。

「ごめんで済めば警察はいらない」と言われた方が、嘘だと分かった今ですら、何かしっくりくる感じがします。つまり感覚的にはまだ騙されているってことです。言葉とか、それを使う人間の認識や感情ってどれだけ適当なんだ…改めてそう思わずにはいられません。

だからこそ、言葉はしっかり認識して使わなければならないということです。

今日からその認識をしっかりと持つこと。
そして「ごめんで済めば警察はいらない」という嘘の言葉は使わないこと。

ここから行動を起こしていきましょう!

5.まとめ

それでは振り返りです。

・警察は警察法で「国民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ること」を責務と定められた組織。
・「ごめんで済めば警察はいらない」は論理的には正しいが、嘘。
・その理由は「ごめん」の対象のすり替えがされていること。
・言葉への認識の甘さを自覚して、正確に使っていこう。
・誰かに謝られても許せない時には「ごめんで済めば民事訴訟はいらない」と言う。

これでもう「ごめんで済めば警察はいらない」を使うことは無くなり、正確な認識のもとで言葉が使えるようになります…ということでこの話は終わりなんですけど、

 

いかがだったでしょうか。

 

「ごめんなさい」で何か面白いものを書こう…その一心で書き上げたこの3000文字チャレンジ。何か少しでも「面白い!」と思っていただけたでしょうか?

ほんの少しでもニヤリと思っていただければ本望です。その場合はまた次回の3000文字チャレンジを読んでいただければ嬉しいです…!

えっ?

そうでない場合は…?

 

ごめんなさい。

 

ということで最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

2 COMMENTS

アンティーク

凄い面白い記事を書かれてますね。
関心しました。
案外、言葉の意味が有耶無耶のままで世に浸透している事が多い気がしますよね。

結局、昔ながらの日本語が崩れていっている現状は悲しいですし、若い世代の略語も見るに堪えないので、もっともっと日本語の素晴らしさが世に広まっていけばいいと思いました。
もちろん、正しい日本語です。

言葉に騙されないように意識するだけで見る世界はガラッと変わりますね♪

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霧島もとみ

コメントをいただきありがとうございました。
この記事を書こうと思いついたのは、言葉を真剣に捉えることで思考の解像度が鮮明になることに気付かされたからです。
略語は略語で面白く、使うのに略な側面もありますが、本来は複雑で繊細な事象をたった一言で表してしまう恐ろしさがあるのではと思い、使用には気を付けるようにしています。
微細な違いを様々な言葉で表現できるのが日本語の素晴らしい所の一つだと感じています。
言葉に意識を向けることで世界をもっと美しく感じたいと思います。

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