【書評】「経済で読み解く日本史〜室町・戦国時代」経済で歴史が面白くなる本!

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こんにちは、霧島もとみです。

上念司さんの「経済で読み解く日本史〜室町・戦国時代」を読んだ感想を紹介させていただきます。

本の表紙

経済評論家の上念司さんが「お金の流れに注目して日本史を読み解く」ことをテーマに書かれたこの本。

歴史に人間の息吹を感じる!
寺社勢力の強さが面白い!

という、新しい視点で室町・戦国時代を楽しめる面白い本でした。

室町・戦国時代〜大正・昭和時代までの全5巻セットのうち、1巻目の「室町・戦国時代」の感想として、特に面白いと感じた点を3つ紹介します。

その1:室町時代の通貨・自国通貨を発行してなかった!

室町時代には国産貨幣が流通していなかったー。

まずこの事に驚きを覚えました。歴史で「和同開珎」が708年に作られたことを学んでいたので、それ以降は当たり前に国産貨幣が流通していたと思いこんでいたのですが、まず本書ではいわゆる「貨幣」という感覚で流通していた国産貨幣が江戸時代以前には存在しなかったと指摘されています。

では室町時代の貨幣は何だったのか?というと、当時の中国「明」から輸入していた銅銭だったそうです

これが日民貿易で安定して入ってきた間は良かったけど、途中でこの貿易を終了したことで貨幣の流入が止まり、貨幣不足=デフレを招いてしまった。

これが経済を不安定化させ、国が乱れた理由の一つとなったというのが筆者の指摘です。

現代でのデフレによる不況のことを思い起こすと、リアリティを持って感じることができる説明です。

今までに考えたことが無かった視点での歴史の動きを感じ、面白い!と思いました。

その2:寺社勢力の強さ!仏教勢力凄い…。

この本で紹介されているのが室町・戦国時代での寺社勢力の強さです。

その強さの理由が何か?というと、この本では信仰ではなく「経済」に重点が置かれて説明されています

この視点も自分には無かった点で面白かった!

歴史の授業では「寺が僧兵などで武装した」「力を持った」くらいの事は覚えていましたが、なぜ武装する必要があったのかとか、背景に何があったのかとかまでは考えたことはありませんでした。

本書ではまず、中国への仏教留学が中国との交易を伴ったものであり、これによって仏教勢力が財力を蓄えていたことを指摘しています。

また、地理的要所を抑えて関所税をかけ、金貸しをし、荘園を支配していくという寺社勢力の権力構造や町づくりがあったことを説明しています。

当初圧倒的な勢力を誇った比叡山延暦寺の凄まじさ、京都五山を誇った臨済宗の台東、その後の日蓮宗・本願寺の勢力拡大が描かれ、さらには時の権力者を巻き込んだ仏教勢力どうしの争いは手に汗を握るものでした。

「巨大な越後屋モデル」=権門政治という構図。

歴史の勉強では単純に宗教=信仰と思っていましたが、実は経済や暴力(軍事力)と結びついたものであったという指摘に、当時に行きていた人間の生々しさや情念、息遣いや人間くささを感じて大いに納得させられるものでした。

寺社勢力の見方ががらっと変わる面白さは必見です!

仏教勢力、凄いです。。。

その3:続きが読みたくなる面白さ!

この本は「織田信長の台東と室町幕府の終焉」で終わります。

信長の経済政策といえば「楽市楽座」が歴史教科書では出てきますが、この「楽市楽座」は実は織田信長がオリジナルではなかったとの事が書かれています。

これも知らなかった。

六角氏や今川氏が実施していたり、それ以前には本願寺が寺内町という形で実施していたそうで、信長はこれらの事例に学んでパクったのではないか?と筆者は指摘しています。

さて、信長の手法の優れた点が何だったのか?という説明も面白かったのですが、最も興味を引かれるのがこの本の最後の締めくくりです。

こう書かれています。

天下統一も間近、まさに準決勝、決勝も近いと思われていたその時、日本の貨幣経済を根底から揺るがす大事件が起こったのです。しかも、この事件は日本のみならず当時の東アジア、そしてヨーロッパ、アメリカ大陸までも巻き込んだ貨幣経済の革命へと発展していきました。一体何が起こったのか?

何が起きたんだよ?続きが気になるよ…!!

気が付けば完全に本の世界に引き込まれていました。

マシンガントークを得意とする筆者らしい勢いのある文章は、読ませる力に溢れています。早く続きが読みたい、そう思わせる歴史の本も珍しいのではないでしょうか。

おわりに

私の日本史に関する知識は、実は十分なものではありません。

高校までを通じて日本史はさらっと勉強したものの、受験は世界史を選択したため十分な学習は行っていませんでした。

そんな私でも面白く読める楽しさと新鮮さがある本だと思ったのは、今を行きていて普段感じている「経済」という串を通した視点で語られているからだと思います。

経済は「人間の生活そのもの」という表現があるそうですが、だとすれば、歴史に生きた人たちも同じく経済を切り離しては考えられないものです。歴史を語るうえでとても面白いだけではなく、実は無くてはならない視点だと考えさせられました。

全5巻でどのような歴史が書かれていくのか、引き続き楽しみに読んでいきたいです。

タイトル画像 【書評】「経済で読み解く日本史〜安土桃山時代」歴史の違う視点が面白い!

 

 

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