【映画評】「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」硫黄島の戦いに思いを馳せる

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管理人の霧島もとみです。

今日はクリント・イーストウッド監督の2006年の映画作品、「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」を見た感想を書かせていただきます。

第二次世界大戦の太平洋戦線屈指の激戦となった「硫黄島の戦い」を舞台としたこの映画は、戦争を体験していない僕にとって、戦争という事実を映像によって考えさせられるだけでなく、そこで生きる人間の姿に思いを馳せるというかけがえのない体験をさせてくれました。

その記録として感想を書かせていただきます。

はじめに:硫黄島の戦いとは?

この映画が公開されるまで僕は、硫黄島の戦いというものを知りませんでした。
聞いたことはあったかな…?という程度です。

そんな僕には、驚くしかないという衝撃的な戦いが硫黄島の戦いでした。

硫黄島は東京都に属する小笠原諸島にある島です。

防衛する日本軍22,786人に対して、攻撃するアメリカ軍が110,000人。

人数だけで5倍ですよ。

僕の感覚的には「即撤退じゃないの…?」と感じてしまうこの中で、さらに驚くことに、日本軍では守備兵力20,933名のうち96%(!!)の20,129名が戦死あるいは戦闘中の行方不明となったそうです。

一方、攻撃側のアメリカ軍は戦死6,821名・戦傷21,865名の計28,686名の損害という、日本軍を上回る損害実績となっていました。

僕は言葉を失うしかありませんでした。

 

さて、それでは映画の感想です。

「父親たちの星条旗」の感想

硫黄島の戦いをアメリカ側の視点から描いた作品です。

といっても戦争のシーンがメインではなく、星条旗を戦場に掲げた兵士たちが英雄に祭り上げられ、国内において戦費を賄うための国債販売キャンペーンに使われていく…という話を主軸に進められています。

戦場のシーンは時々フラッシュバック的に挿入されるという感じです。
淡々と描かれているなという印象を受けました。

・英雄はいない
・友のために死んだ

というような台詞があったのですが、僕がこの映画から感じたことは

・アメリカ軍の兵士たちは戦地に任務として行き、目の前の現実に仲間と立ち向かった。
・敵味方に優劣はない。
・激戦地でもそれは変わらなかった。

という事でした。

戦争を美化するものでも貶めるものではなく、起こっていた事実を客観的に伝えながら、そこで戦っていたのも、本国にいたのもすべて同じ人間である。
そのことを見て欲しい。

そういうことかなと。

映画の時間はあっという間に感じました。

次に「硫黄島の手紙」はどんな映画になっているのか…心は完全に惹きつけられ、続けて僕は硫黄島の手紙を見ました。

「硫黄島の手紙」の感想

硫黄島の手紙は、日本側の視点で描かれた映画です。

渡辺謙さん、嵐の二宮和也さんなどが出演しています。

父親たちの星条旗とは違って、指揮官となる栗林中将の着任から戦闘の集結まで、戦場となった硫黄島の戦いを中心に作られていました。

絶望的な状況の中で決死の戦いを挑む日本軍兵士の姿は、決して悲壮感を全面に押し出した演出ではなく、むしろ淡々と描かれているという印象でした。

父親たちの星条旗でもそうであったように、起こっていたことをありのままに映像化して伝えたい、見てもらいたい、そんな意思を感じました。

捕虜となったアメリカ兵士との会話のシーンがあります。

そこに居合わせた日本軍兵士たちは、次のことに気付きます。

・敵も同じ人間であること。
・アメリカ軍兵士が持っていた家族からの手紙は、自分が故郷の家族からもらったものと同じものであること。

それを目の当たりにしながらも、一方で、目の前の戦闘には変わらない強い意思で飛び込んでいく。人間性と、目の前の戦争という状況は別のものなのだということを見た気がしました。

映画の時間はあっという間に過ぎました。

映像化したクリント・イーストウッド監督に畏敬の念を感じながら、戦いに散った先人たちの英霊に思いを馳せずにはいられない、価値のある映画だと感じました。

2つの作品を通して感じたこと

硫黄島の戦いをアメリカ軍・日本軍それぞれの視点から描いた2つの作品を通して見て感じたことは、戦争とはロマンでも歴史の中だけの話でもなく、現実の出来事だという事でした。

それぞれの背景があり、経緯があり、もちろん時代背景もあるのですが、その中で目的を達成するために発動されるのが戦争。

そのためには金も必要。資源も必要。一旦開戦すれば目的を達成するためにありとあらゆる手段を投入する。

戦場では目の前の戦闘に勝利するために、仲間とともに戦う。

賛同も否定もするものではなく、ただそういうものだと。

 

また何よりも、硫黄島の戦いに散った日本の英霊たちのことを考えると、胸に熱くこみあげるものがありました。

第二次世界大戦のことは普段の生活の中で話題にすることなんて全く無く、むしろ触れてはいけないタブーであるような雰囲気すら感じてしまっていたのですが、それは違うということを今更ながら気付きました。

東アジア情勢が厳しさを増している今、あらためて見ておきたい映画の一つだと言えると思います。

見終わったあと、知らない内に涙が流れています。

Amazonプライムビデオで見ることができますので、見たことがないという方はぜひ見てみてください。

 

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