テレビのコメンテータさんやTwitterで吠えている政治家さんの言葉を拝見していると、「論理的でもないし根拠もないのによくこんな事言えるなー」とある意味感心してしまうことがあります。
そういう人に共通しているのは、反論されたときには相手の意見をほぼスルー、または「つまらない」などと発言を封殺するということだったりします。
つまり「他人の話を聞かない人」です。
こういう人は一見テレビ映りがいいのか、年配の人は「この人ははっきり言うこというから気持ちがいいねえ」なんて呑気な感想を持ったりしますが、実際に相手をしてみるとほとほと困る人でしかなかったりします。
でもこういう人、別にテレビやTwitterだけじゃなくて、普通に身の回りにもいます。
仕事で関わることも多いのではないのでしょうか。僕の関わった人の中にも、何人かポポポポンと思い当たる名前が浮かびます。
同時に「やっかいだなあ」「手強いなあ」という思いが連想されます。その感想は周囲の人も同じだったりします。
そう、相手の話を聞かない人は、えてしてそれが「強さ」のように見えてしまうのです。
せっかく思い付いたので、「他人の話を聞かない人」がそもそもどういう存在なのか、また、僕のようについ相手の立場で話を聞いてしまう人がどう接するべきなのか、整理してみました。
そういう人と関わることになったとき、参考になれば幸いです。
他人の話を聞かない人って?
「他人の話を聞かない人」と一言で言っても、そのタイプは様々です。
でも大まかには、僕の経験から、おおよそ3つのタイプに分類できると考えています。
・単純に話を聞くつもりがない人
・立場上、聞かない人
・権限があるから聞かない人
では、それぞれごとに見ていきます。
1.単純に話を聞くつもりがない人
最初から人の話を聞くつもりが無い人ですね。
自分の主張が絶対だと心から信じ、それ以外のことはアウトオブ眼中になっているタイプの人です。
テレビのコメンテーターでよく見るタイプです。
一見正当なことを言っているように聞こえますが、それは本人の中では論理的に構築されていると信じているからで、一歩引いて客観的に考えるとツッコミどころが一杯あったりします。
でも信じているから強い。そして熱があるから強い。
この場合は、話をするだけ飲み込まれる可能性が高くなる危険性があります。何より難しいのは、同じだけの熱量を自分の中に維持することです。だって変だと分かってるもの。
なので僕の場合は、話をするだけ意味がないと割りきり、間合いを置きます。
平行線で良し。
その場では解決することは難しいので、機会を改めるか、熱が覚めるのを待ちます。
なお聞かれないのは承知のうえで、こちらの意見は意見として伝えておきます。
人のことを人だと思っていないサイコパスな人もいるので、その場合はなお一層の注意が必要です。
2.立場上、聞かない人
これは強いです。
自分の主張と、相手の主張を客観的に判断する能力を持ちながら、自分の立場上相手の言い分を認めてしまうと不利になることが分かっていて「話を聞かない」スタンスを取る人です。
交渉では多いパターンかもしれません。
一見強引な態度に見えることもありますが、逆に相手の立場になって考えると「そう言わざるを得ない」と理解できることが往々にしてあり、お互い様な感じもします。
この場合は、お互いの主張はお互いの立場に由来するので、何もしなければ話が進みません。
相手の立場がどういったものなのか、分析をしたうえで落とし所を探すことになります。相手を理解すればするほど、思わぬ落とし所を見つけられることがあり、腕の見せどころかもしれません。
そういう意味では、相手のことを理解するという姿勢が報われる可能性があるパターンかもしれないですね。ただ、手強いことが多い気もします。
3.権限があるから聞かない人
これは物事の決定権を相手が持っているパターンです。
立場があり、かつ、決定権まで持っているということで、やっぱり強いです。
論理的に武装して正面突破をしようとしても普通に跳ね返されます。跳ね返されました。
まあ100%相手が間違えていてこっちが正しいのならそうはならないかもしれませんが、そんな事は現実世界ではなかなかありません。解釈の余地というものがありますから。
「いや、それを最終的に判断するのは私だから」
そう言われるとお手上げです。権限というものは強い。そしてその強さを自覚している人は、やっぱり手強い。
この場合は…正面突破は諦めながらも、まずは正面突破からですね。
次にコレ、次にコレ、という感じであの手この手を駆使して目指す落とし所へ一歩でも近付ける努力が必要です。
当たり前の話ですけど、相手の立場の分析と理解が有用です。周囲の協力も得ながら、最終的に「相手を立たせて、損して得とる」に持ち込めたら上出来かなと。
話を聞かない人の強さって何なの?
こうして見ていくと、一見して「話を聞かない人」だからといって、その全員に話が通じない訳ではないことが分かります。
じゃあ話を聞かない人の強さって何なのだろうと改めて考えると、それは「強く見える」ことです。
自分の意見を曲げないという一点に尽いて、強さを感じるだけです。
その背景にあるのが、単に人の話を聞けないだけなのか、立場なのか、権限なのか、それによって本当の強さは違います。
共通するのは、正面からの議論・交渉で何とかしようというのは難しいこと。
意見や考えでは覆せないファクトを用意して逃げ場を断っておき周囲から落としていくか、相手の言い分を前提とした二次的なゴールを設定したうえであえて一旦負けて泣きを入れるか…。
勝ち負けは議論ではなく、たどり着くゴールにあると思いましょう。正しい・正しくないだけの議論は不毛、なんの意味もなし。
その意味ではやっぱり「相手の話を聞かないだけ」のテレビコメンテータや政治家さんたちは、百害あって一利なしにしか思えないのですが、なんでテレビではそんなのをガンガン流してるんでしょうか。
不思議でなりません。
もっと建設的な社会になってほしいなあ。
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