【書評】「イスラム教の論理」目から鱗が落ちまくる1冊!

こんにちは、霧島もとみです。

飯山陽(いいやまあかり)さんの「イスラム教の論理」の感想を紹介させていただきます。

イスラム教の論理・表紙

飯山陽さんはイスラム思想研究者で、アラビア語通訳や上智大学アジア文化研究所客員所員などをされている方です。

ジャーナリストの有本香さんが「飯山さんの本を読んだらイスラム教のモヤモヤしたところがスッと通った」というようなことを話していたのを聞き、興味が出て読んだところ、かなり面白く読むことが出来ました。

まさに、イスラム教の論理。

そのタイトルに相応しい本だと感じました。

イスラム教について歴史や宗教一般論としての知識はあるつもりだけども、実際のところは良く分からない…。そんな私のような人間でも、イスラム教に貫かれる論理・思考の一端を垣間見ることが出来る本です。

ということで、この本を読んで特に面白かった3つのことを感想として紹介します。

その1:理路整然とした文章

「イスラム教の論理」というタイトルのとおり、この本は非常に論理的に書かれています。

論理をタイトルに謳う本がそもそも論理的に書かれて無かったらギャグでしかありませんが、この本にはそんな心配はありません。

根拠を明確に示し、論理構造に矛盾がなく、かつ分かりやすい。

著者の論理の根拠をコーラン、ハーディス、イスラム法の構造に常に置き、それを根拠に論理を展開しているため、凄く分かりやすいんですね。

たとえば、

・「イスラム国」のイスラム教解釈は「正しい」
・イスラム圏に信教の自由は存在しない

などの「ええっ??」と疑問を感じるような見出しについても、読んでいくと「こういう論理なら確かにその結論になる」と納得させられます。

理路整然とした文章力に、一本の串を通された感覚を味わえます。

その2:「イスラム国」が真に正しいってどういうこと?

過激な組織として報じられている「イスラム国」について、ニュースを通じて「危険、人権無視、無法」というようなイメージを私は持っていました。

イスラム教の人達から「イスラム過激派やそのテロ活動はイスラム教の教えとは一致しない」というメッセージが出されていたことも、そのイメージを持っていた理由になっていたと思います。

あくまでイスラム国は過激な原理主義者なのだなあと。

そんなイスラム国ですが、「イスラム教」的には正しいというのが著者の見解です。これには正直驚きました。

しかし、コーランやイスラム法の構造から論理的に見ていくことで、著者の見解に納得させられてしまいます。驚きの体験です。

原理主義、過激派といいますが、それはイスラム教外の価値観を当てはめたものにすぎず、イスラム教のそもそも論で言えば正しい姿なのだということに「なるほどなあ」と頷かされてしまいます。

これは物の見方ががらっと変わる体験でした。
思考の前提が違っていたことに気付かされた、と言ってもいいかもしれません。

そのうえで「イスラム国」という現象が何なのか、また、自分たちはそれにどう向き合わなければいけないのかを考えなければいけない。価値観が全く違うことを前提にして考えなければいけない。

その事をドンと突きつけられた気がして、これは面白いと感じました

その3:イスラム教の魅力

この本はイスラム教の価値観と、その背景となる論理を著者の視点から紹介したものです。

しかし読んでいるうちに、信者ではない私にも「イスラム教の魅力」がひしひしと感じられて来る気がしました。

それを感じたのは、書中から感じたイスラム教の次の要素です。

・全知全能の神を信じる
・全て神の教えに従えば良い
・悩みから解放される

これらは世界に対して悩みや不満を抱える人にとって凄く魅力的に感じるのではないかと

また、社会的動物である人間が持つ集合欲を強力に満たす事ができるのではないかと

その一方で解釈の多様性も持っていることも指摘していて、

質問者はもし最初に訪れた法学者の回答に納得できなければ、納得がいくまでいくらでも他の法学者に相談しに行ってよいことになっています。

という説明には、解釈が一通りでなく、選択の自由があることが感じ取れます。この点も、この世での「緩さ」的なものを認めてくれている気がして、魅力を感じました。

イスラム教が宗教として持っている魅力は強大なものである。そういう認識をしっかりと持っておくことが必要なのではないか、そう考えさせられました。

その他の感想

イスラム教については少なくともコーランを読まないと理解・判断できないと思いますが、この本を読むことで少なくともその片鱗を知れることは間違いないのではないかと思います。

著述に論理性と根拠をしっかりと感じるからです。

この本を通じて、イスラム教・イスラム法に基づく思想を持っている多くの人間が同じ世界にいることを認識しておくことが、日本に生きる私達にも必要なのだと気付くことが出来たと思います。

日本に生きてきた中で、平和、民主主義的な考え方が当たり前で普遍的だといつの間にか考えていた私にとって、物事の論理がそもそも全く違う人々がいるということを知れたことは、目から鱗が落ちまくる貴重な体験でした。

面白い1冊でした!

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