霧島もとみです。
9月14日(金)に封切られたばかりの映画「響-HIBIKI-」を観てきました。
映画『響 -HIBIKI-』twitterハッシュタグキャンペーン第2段スタート!
第2弾では映画『響 -HIBIKI-』の感想を大募集! ハッシュタグ(#映画響CP)とともにコメントをツイートしてください。たくさんのご応募お待ちしておりますhttps://t.co/mewfUr3wtU
— 映画『響 -HIBIKI-』 (@hibiki_movie) August 28, 2018
原作の漫画を読んだ時には
文学をこんな風に切り取ってエンターテイメントに出来るんだ!凄い!
という衝撃と驚きがありました。
ですから凄く期待していた作品です。
しかしその結果、僕がこの映画に過剰な期待をしてしまっていたことが分かりましたので、その気付きの話を書きます。
内容についてはネタバレを含みますのでご注意ください。
映画「響-HIBIKI-」の簡潔な感想
正直、このブログに感想を書くことを僕は一度ためらいました。
ブログにはあまりマイナスのことは書きたくないと思っているからです。
ブログに「つまらない」と書くくらいなら紹介しなければいいというのが僕の信条です。
面白いもの、響くものを伝えていきたいからです。
ですが。
今回はあえて書くことにしました。
なぜなら、主人公の響なら、作品に対する感想はいつも真っ直ぐに叩きつけるからです。
書かないことは、響に対する裏切りです。
だから感想を書くことにしました。
総論としての簡潔な感想は次のとおりです。
つまらなかった。
何が撮りたいのかはっきりしない。
ストーリーをざっとなぞって雰囲気を出そうとしただけの作品。
平坦で味気がなかった。
映画を観終わったあと、あまりに残念で、
「僕はなんでこんな感想を持ったのだろうか?」
「その原因はどこにあるのだろうか?」
と考えました。
そうすると原作ファンである僕が過剰な期待を持ってしまっていたからじゃないか?ということが浮かびあがってきました。
僕が映画「響-HIBIKI-」過剰に期待していたこと
映画化の話を知った時に、僕がまず興味を持ったのは「主人公・響をどう表現するのだろうか」ということでした。
それを皮切りに次々と想像が膨らみ、いつしかそれは映画に対する過剰な期待に変わっていました。
最終的に僕が期待していたことは次の3点でした。
響が抱える過剰さの実写表現
主人公の響は芥川賞と直木賞を15歳で同時受賞するという文学の天才です。
しかし一方では、自分自身のルールを貫き通す剥き身の刀剣のような危険性を併せ持っています。
これを僕は「作家が抱える過剰さ」の発現だと考えていました。
15歳の高校生が世間を圧倒する作品を世に送り出す訳ですから、あどけない外見からは想像もつかない、途方もない過剰さを持っているはずです。
漫画の響からは、それが十分に感じられました。
あるいは、感じさせる余白があったという表現が適当かもしれません。
その過剰さを映画のスクリーンでどう表現するのか。
どう観客に伝えるのか。
僕はまずこの点に最大の興味を持ち、「映画化するのだから当然ここは予想を上回ってくるだろう」と期待を膨らませていました。
しかし、この期待は満たされることはありませんでした。
スリル
原作・響の大きな魅力に「スリル感」があります。
響の刃物のような言動もそうですが、ストーリー自体にスリルが仕掛けられているんですよね。
- 追い詰められた状況がどう展開していくのか?
- どう切り抜けていくのか?
- 相手をどうやってねじ伏せていくのか?
このスリルを劇場で体感することに、僕は物凄い期待をしていました。
漫画でもあれほどのスリルを味わえるのだから、
音楽、映像を駆使できる映画ならもっともっと物凄いスリルを味わう事ができるのだろう。
しかし、この期待も満たされることはありませんでした。
原作と同じシーンでもなぜかスリルがない。
よく似てはいるけど、差し迫ってくる緊迫感が感じられない。
それが僕の実感でした。
ストーリーのどの部分を持ってくるのかというワクワク感
2時間の枠の中で、どの部分を主要エピソードに持ってくるのだろう?という興味がありました。
それで映画の内容ががらっと変わりますからね。
どこに焦点を当てて、それを掘り下げて鮮烈に表現するのだろうか。
あのシーンか、それとも全くのオリジナルか・・・
色々考えるだけでワクワクが止まりませんでした。
しかしこの期待も満たされることはありませんでした。
淡々と進むストーリーに大きな盛り上がりはなく、主要エピソードが何なのか分かりませんでした。
演出的には芥川・直樹W受賞の記者会見を最後の見せ場にしたかったんだろうなという節がありましたが・・・
原作と違って既に響が身バレしてしまっているので「響って誰なんだ」という緊迫感がなく、何のカタルシスも感じられませんでした。
その他残念だったこと
2時間の映画ですから原作どおりにはならないことは承知です。
しかし原作と違う展開がこの映画では魅力を半減させていたように思え、とても残念でした。
最後にその残念な点を少しだけ紹介させてください。
- 新人賞編であっさり響が見つかる
- 新人賞の受賞時からフルネーム
- すぐに響の身元が割れて家にマスコミが押しかける
- なのに芥川賞の発表当日は誰もマスコミが追っかけてきていないという矛盾
- 芥川・直樹W受賞の表彰式後に編集長が「出版できない」と泣きを入れる→やっぱり出版する→なにこの展開意味不明
色々書きましたが、期待を抱かせてもらっただけでも映画化は良かったと思います。
違う角度で原作を楽しむきっかけになりましたから。
最後まで読んでいただきありがとうございました。