霧島もとみです。
ひょんなことから、
「昔はよく時代劇を見てました」
という話になりました。この話自体は発展することもなく、まるで強風の墓参りで線香へ点火しようとしたときの炎のように儚くかき消えてしまったのですが、つまらない妄想が大好きな私はこのとき
「時代劇では、なぜ人を斬りまくっているのだろう」
という事が気になりました。
時代劇を見ていた頃は「時代劇だから」「演出」「格好良いから」だと思い、斬り合うシーンを楽しみに見ていました。しかし大人になった今は拗ねた目で考えてしまいます。
なぜ時代劇の主人公はあんなに人を斬りまくるのか。
権力がある将軍だからか、旗本だからか。それとも代官だから?身分が高く、正義を振るうのだから人を斬っても当たり前だとでも考えているのだろうか…。どう考えてもちょっとヤバイ奴だよね。ううん…。
ということで。
この大きな謎に挑むため、ちょっと想像してみました。
時は江戸時代。
単身、悪の所業を行う連中のもとに乗り込み、その罪を暴きたてる。予め彼らのもとに潜伏しておいて動かぬ証拠を掴み、それをこれみよがしに披露する。
「さあ、観念して捕まりなさい!!」
・・・
うわ。
100%殺されるよこれ。
写真も動画もない江戸時代。悪事を掴んだのは目の前にいるこの男一人だけ。しかも向こうからこちらの敷地内にわざわざ足を運んでくれている。それも単身(or数人)で。
どう考えても「コイツをやっちまえ」になりますよね。間違いなくぶった斬られる展開。
なら、斬られる前に斬るしかない!
決して斬りたくて斬るんじゃないんだ!やらなきゃこっちが死んでしまうんだ!!
・・・という決死の情景があの毎回の斬り合いなのだ。
それが私が描いた想像の結論でした。
そう考えれば、もの凄い覚悟です。常に死を背負って悪人の懐の中に飛び込んでいく、凄まじすぎる話が時代劇の正体だったのでは!?と興奮の汗が止まりません。
テレビの時代劇だから「主人公は絶対に斬られない」と思い込んでいましたが、これはどう考えても勿体ない。
- 六代目将軍が斬られて幕府のお家騒動が勃発するかもしれない
- 水戸光圀公が斬られて助さん・格さんが切腹するかもしれない
- 榊原主計頭忠之の「夢」の鉄扇が柱に刺さらないかもしれない
という緊張感を持って時代劇を見たら、もっとハラハラできたのに。
なんて勿体ないんだああああ!!
という事を想像してニヤニヤしていた午後のことでした。