読書感想文。
夏休みの宿題のなかで「やっかいだな…」と思ってしまうものの一つです。
僕の子供たちも例にもれず読書感想文が苦手でして、ズルズルと後に回しては、8月の終わり頃に泣きそうになりながら何とか間に合わせる…ということを繰り返していました。
彼らのそんな姿からは、
読書感想文をなんでやらないといけないの?
本を読んで書くとか意味わからない!
でも下手なもの書いて怒られたくない!
そんな心の声が聞こえていました。
いや。実際にそう言っていました。
そういえば僕自身も、子供の頃に読書感想文を書くのが苦手で嫌いでした。
訳の分からない課題図書を指定され、興味のないまま読んで、あらすじに少しの感想を加えてお茶を濁す…ということをやってました。
でも子供に読書感想文の書き方を教えているとき、「そもそも本ってなんで読むんだっけ?」と大人の視点で改めて考えると、長年の読書感想文への疑問がするすると解けていきました。
そうすると、
・読書感想文は何のために書くのか
・書くための段取り、テクニック
が何なのかも分かってきました。
ただ宿題でやらないといけないから…
本屋さんの売上に貢献するための大人の都合でしょ…
ではなく、
子供のために価値のある読書感想文のシンプルな書き方を紹介します!
まずは結論!シンプルな読書感想文の書き方
僕が親の視点から考えた、シンプルな読書感想文の書き方がこれです。
- 本を読む目的や理由を書く
- 本で得た気付きを書く
- 自分のこれからの行動を書く
そしてこの大前提にしておくのが、コレが一番大事なことなんですけど、
自分を成長させるために本を読む
ということです。
コレが抜けてるとただの「やらされた宿題」「義務」になってしまいます。
ではなぜこれらが大事なのか、そこを説明していきたいと思います。
そもそも読書感想文の目的は?
コンクールの要項を見てみた
読書感想文の宿題は、青少年読書感想文全国コンクールに応募する前提で出されることがほとんどだと思います。
ではこのコンクールの目的は何なのでしょう?
課題図書の売上アップでしょ!という気もしなくもないのですが、HPの応募要項にはこのように書かれています。
◇子どもや若者が本に親しむ機会をつくり、読書の楽しさ、すばらしさを体験させ、読書の習慣化を図る。
◇より深く読書し、読書の感動を文章に表現することをとおして、豊かな人間性や考える力を育む。更に、自分の考えを正しい日本語で表現する力を養う。
(読書感想文全国コンクール公式サイト)
なるほど。
書かれていることはもっともです。
でもね、子供にはちょっと難しいと思うんですよ。
「読書の感動」とか「豊かな人間性」とか、概念が高すぎて分かりにくい。
そうなると多くの子供に、特に小学生にとっては厄介な宿題でしかなく、「やれ」と言われてるからやるだけのものなんです。
でも学校としてはコンクールの応募要項に応えようとするから、書き方にあれこれ注文…ではなく指導をすることになります。そうなると子供は余計に分からなくなるんです。
もっとシンプルに伝えようとするとどうなるだろう?
僕は考えを巡らせました。
大人の視点から見る読書感想文、書評
ところで大人になると本を読むことが増えます。
小説や詩などの文学的な本もそうですが、知識や教養を得るための実用書や専門書などを読む機会が増えると思います。
読む理由はシンプルで、自分が持っていない知識を知りたいからです。
ところでこんな時、本を読むだけで終わることは少ないと思います。重要なところに線を引いたり、付箋を貼ったり、ノートにまとめたりして、本の内容を理解するための工夫をしますよね?
なぜそうするかというと、その方が本からの知識・経験の吸収をより強化することができるからです。
アクティブラーニングと言ってもいいでしょう。
「ただ受け身に本を読んで終わり」という読み方と比べると、自分の中に残る情報量が全然変わります。
考えることで理解を深め、ことばにすることで思考を具体化できるんですね。
僕は時々このブログで書評を書いていますが、その理由もここにあります。読んだ本と向き合うことで、自分の読書体験を強化したいから書いています。
自分のために書いてるんですね。
誰かのために書こうと思ったら、なかなか書けないです。だって読む人それぞれで求めるものは違うし、どんな人が読むのかなんて分かりませんから。
(もちろん誰かに読んでもらえたら、これほど嬉しいことはありませんが…!)
これって、子供も同じだと思うんです。
そう考えると、自然と読書感想文を書く目的が「自分を成長させること」だと気付きました。
そのために本を読む。
本を読んだ体験をより自分のものにするために書く。
読書感想文は学校のためじゃなく、コンクール主催者のためじゃない。
子供自身のために書くもの!この意識を持つと、不思議と書くことがシンプルになるんです。
あ、もちろんコンクール入賞を目指すというのなら話は別ですよ。その場合は「ゲーム攻略」の視点が必要になるので、この記事では触れません。
読書感想文がシンプルに書ける!
それがこの記事の目的ですのでよろしくお願いします。
シンプルに書ける読書感想文の書き方
結論として書いたことをもう一度紹介します。
- 本を読む目的や理由を書く
- 本で得た気付きを書く
- 自分のこれからの行動を書く
そしてこの大前提にしておくのがコレです。
自分を成長させるために本を読む
これらについて、少し詳しく紹介していきます。
準備:まずはメモの用意を
まず、やってはいけないことがあります。
「いきなり原稿用紙に書き始める」
僕の子供はこれでピタリと手が止まり、原稿用紙を前にただ悶々とする時間を過ごしていました。
白紙のA4用紙やノート、なんでもいいのでアイデアをどんどん書いていける紙を用意します。
とにかく思いつくままに書いていきます。考えたことはドンドン書く!勢いが大事です。たくさん書けば書くほど、後が楽になります。
1. 本を読む目的や理由を書く
なぜこの本を読もうと思ったのか?
そう、自分を成長させるためですよね。
「今の自分が知らないことを書いてある」
「経験したことがない物語がある」
ざっくり言うとこういうことになると思いますが、
「何を知りたいと思った」
「何を経験したいと思った」
というように興味を持った点を書いておけばOKです。
本の紹介文でおおまかな内容が書かれてなければ、簡単なあらすじをネットで見ておくといいです。
ちなみにこの作業は、本を読む前にやっておくのが絶対にオススメです。
本の読み方が変わってきますし、次に書く「気付き」が得やすくなるからです。
宿題だから。読書感想文を書かないといけないから。
そんな事は完全に頭から追い出しましょう!
目的のない読書に今はありません。時間の無駄です。
2.本で得た気付きを書く
本で新しく知ったことや、気になったエピソードをどんどん書いていきます。
最初に書いた「本を読む目的」があれば、それに関連付けて見つけやすくなります。
気付きのメモでは、
・本に書かれてある内容
・それをもとに自分が考えたこと
をセットで書くようにします。
これも深く考えずに「あっ」とか「へー」とか思ったことをドンドン書いていきましょう。質よりも量。
これが多ければ多いほど、本の内容が自分の中に吸収されていくことになるので実は大事な部分です。
子供だけでなく大人の読書でも同じですね。
発見の喜びを覚えてくれたらしめたもの。
子供達も最初はここが難しかったみたいですが、読むというよりも「クイズのヒントを探す」というノリになると一気に加速していきました。
読書感想文のキモになる部分、つまり自分を成長させる読書のキモになる部分ですので、ここは頑張ってドンドン書き出しましょう!
3.自分のこれからの行動を書く
まとめになる部分ですね。
最初の2つが出来ていれば、もうここは簡単です。
本を読んで新しいことを知った。
これまでにない体験をした。
それを知った新しい自分が、これからはこういう事をしていきたい。
はいコレでOKです!
これで読書の目的を完全に果たすことができたからです!
本で新しいことを知る。
それを自分の中に取り入れる。
それを力に変えて、自分が新しいことをする。
これこそが読書の本質ですから、書くのはこれだけでいいんですよ。
それ以外のものは飾り。あってもいいけど、無くても全然困らないのです。ジオングの脚と同じです。
だから「本のあらすじ」なんかは全く書く必要はないんですよね。
4.メモをもとにまとめる
あとは出来たメモをひと通り眺めて、その中から「コレとコレとコレを書こう」と整理していきます。
この作業には少し慣れが必要なので、親がアドバイスしてあげてもいいと思います。
書くための材料は子供が全部出してくれているのですから、調理法をアドバイスしても、読書体験が子供のものであることは変わりません。
ただ過度な干渉は子供が混乱してしまいます。
- 本を読む目的や理由を書く
- 本で得た気付きを書く
- 自分のこれからの行動を書く
の流れが崩れないように注意すれば、全然OKです。
原稿用紙ではなく別の紙に書くのが良いです。原稿用紙は「ちゃんとしたものを書かないといけない」という気持ちが働くのか、子供の手が止まりがちでした。
最初のメモに丸をつけたり、線を引いたり、順番の数字を書いたりでもOKです。
それができれば、最後に原稿用紙に書きましょう。
驚くほどラクに書けるはずです。
補足テクニック
とはいえ慣れない子供はそう簡単には書けません。
そこで親としては助け舟を出すことも必要になるわけですが、有効なのは「インタビュー形式で子供の考えを引き出す」というものです。
学校のプリントにも書かれていることが多いと思います。
書くヒントになるようなことを、親が子供に質問をすることで引き出していく手法です。
この時にも基本の流れを抑えておくとインタビューがしやすいです。
ゴールも見えていますので、それに向かってどういう道筋で進めばいいか、どんな材料が必要かが分かっていると質問しやすいんですね。
ただ、過度な誘導になってしまうと子供の読書ではなく親の感想文になってしまうので注意が必要です。
そもそもの意味がなくなってしまいますからね。
目的はあくまで読書による子供の成長ですから。
それこそが読書感想文を書くことの価値であり、意味です。
これで「書き方が悪い」なんてことを言う先生がもしいようものなら、
本を読むことの本質って何ですか?自分の成長ですよね?そのことは全部書きましたが何か?
と論破してやりましょう!まあ、いないと思いますけど!
まとめ
以上、読書感想文のシンプルな書き方を紹介させていただきました。
シンプルなやり方で価値のある読書感想文が書けますので、ぜひ参考にしてください!
- 本を読む目的や理由を書く
- 本で得た気付きを書く
- 自分のこれからの行動を書く
そして大前提がコレです。
自分を成長させるために本を読む
そう考えると、本を読むことがきっと面白くなるはずです。
最後までありがとうございました。