【書評】藤田田「ユダヤの商法」儲ける秘訣…ではなく人生の軸への気付きがあった本

こんにちは、霧島もとみです。
当ブログをご覧いただきありがとうございます。

今日はビジネス書、藤田田(デン)さんの「ユダヤの商法」の感想です。

藤田田(デン)さんは日本マクドナルドの創業者だそうで、「不朽の名著であなたのビジネス脳をアップデート」というキャッチコピーと、「ユダヤの商法」というタイトル、それと誰か有名な人が薦めてたなあという記憶で本を買い、読んでみました。

内容は商売の原理原則である「信用」を得るための方法だったり、ユダヤ人から学んだ藤田さんの商売の秘訣だったりです。

でもこの本で強く印象に残ったのは商売の秘訣ではなく、人生の軸に沿って生きることが幸せへの近道なんだという価値観の話でした。

藤田田の「ユダヤの商法」とは?

この本でユダヤ人は次のように紹介されています。

  • 2000年の迫害された歴史を持つひとつの民族
  • 世界中を転々と追われ続けてきた
  • 欧米の名だたる商人の大半がユダヤ人である
  • 貿易商として欧米で商売をしようとすれば。ユダヤ人を窓口とする以外にない

長い歴史のなかで商人として優れた力を培ってきた民族ということになると思います。

ユダヤ人の商売での特徴や、ベースになる価値観などがたくさん紹介されています。「数字に強い」「契約を神髄とし、破るものには容赦しない」「時を盗むな」とかですね。このほかにも多くのことが書かれています。

藤田さんが彼らの商売の原理原則を取り入れて成功したエピソードも紹介されていて、なるほどユダヤの商法とは凄いものだなと感じました。

でも、紹介されている「ユダヤの商法」が商売で儲けるための万人の秘訣かというと、それは違うように感じました。

ユダヤ人が彼らの商法で儲けてきたのは、この本に書かれているような厳しい商法をとにかく徹底したからこそではないか?と考えたからです。

徹底するからこそ、秘訣は効果を発揮する。

じゃあなぜ徹底できるか?と考えると、それはその商法がユダヤ人の人生の軸、価値観、生き方の本質に沿ったものだからと推測しました。

なぜユダヤの商法は徹底されたのか?自分にはそれが可能か?

正直、私にはこの本に書かれている「ユダヤの商法」をコピーして徹底することは無理だと思いました。技術的な話ではなく、運用するためのメンタルの刷新が必要だと感じたからです。

それはユダヤの商法が厳しいと感じるものであり、また、私の価値観と完全に一致するものではなかったからです。

これだけ厳しいルールを徹底するのには、ベースになる価値観と一致していないと無理だなというのが正直な感覚でした。

なぜユダヤ人がこの商法を徹底できるのか?と考えてみました。それは民族的背景が価値観を作り上げ、その価値観のもとに商法が練り上げられてきたからでしょう。もちろん宗教的な背景もあると思います。

これは日本人とは全く異なる背景です。日本人は2000年以上国体が継続し、民族として続いてきました。国土は豊かな自然に満ちていて、自然災害もありますが、厳しいとはいえない環境です。ユダヤ人の背景とは全く違います。

一例としてこんなエピソードが紹介されていました。

「人生の目的はなんだと思うか」
ユダヤ人にこうたずねると、いとも明快な答えが返ってくる。(中略)
「人生の目的は、おいしいものを心ゆくまで食べることです」
ユダヤ人は、必ずこう答える。

確かにおいしいものを食べることは人生の楽しみの一つですが、それを人生の目的だと言い切れる構造は自分自身の中にはありません。

この違いは価値観の違いであり、人生の軸の違いです。

だからユダヤの商法がいくら優れていても、私がそれを徹底することは無理ということになります。人生の軸が違うからです。

背景が違えば価値観が違う、価値感が違えば生き方が違う

この本から私が得た気付きは「ユダヤの商法」そのものではなく、価値観、生き方に関する気付きでした。

それは、生き方が違う人間の行動を真似しても決して強くはならないし、幸福にもならないということ。

なぜなら、人生の軸が違う生き方に対しては全力投球が決して続かないし、その結果に幸せを感じることも出来ないからです。

背景が違えば価値観が違い、価値観が違えば生き方が違う。

他人の生き方や行動の背景は何なのか?価値観はどんなものか?それを知らずに方法論だけを評価することは意味がないことになる。

だから、むやみに他人の生き方の表面を見て、憧れたり、真似したりすることは全然意味がないんだということを改めて認識できました。

「ユダヤの商法」はその一例で、ほかに例えばネットで見かけるような「自由最高!」とか「儲けることが最高!」とか「本業×副業が最強!」いったような声に対しても、むやみやたらに心を揺らされる必要もないことも言えるでしょう。今回、私はこのことが本当に腑に落ちました。

揺らされるとしたら自分の軸が定まってないからです。そして自分の軸が定まっていない状態では、何をしても幸福になることは難しい。優先順位は自分の軸を定めることです。

もし自分の軸が定まっていたら、「いいな」とい思うものに対しては、翻訳して取り入れればいい。あるいは、価値観を変える必要があるほどに優れたものであれば、自分の軸を見直せばいい。

この本で紹介されているユダヤ人の習慣に、タハムード(ユダヤ教典)を毎日読むというものがありました。これは人生の軸を維持・強化させる習慣を持っていることだと言うことも出来ると思います。

そんなユダヤ人がブレない価値観で人生を送り、商売で成功しているということは、習慣の偉大さ、人生の軸を置くことの強さを示しているのかもしれません。

「ユダヤの商法」で得た気付きのまとめ

ということで、「ユダヤの商法」で得た気付きをまとめると次のとおりです。

気付きのまとめ
  • ユダヤ商法は民族の歴史的背景・価値観がベースにある
  • 背景が違うものを徹底することは自分には難しそうだと感じた
  • 「ユダヤ商法」に限らず、生き方が違うものの行動を真似ても幸せになれない
  • 他人の表面だけを見ず、背景や価値観を見る必要がある
  • だから他人にむやみに憧れたり真似したりしなくていい
  • 人生の軸に沿って生きることが幸せへの近道

私の場合は商法というよりも人生の価値観に関する気付きでしたが、この本は人によって読み方が変わってくると思います。

著者の鮮烈な目で切り取った「ユダヤの商法」は強い衝撃で読む人を揺らしてきます。

もし読んだことがないという方は、一度揺らされてみて、その中で自分が何を感じるかを試してみてはどうでしょうか。

面白い本でした。

 

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