霧島もとみです。
ブラックな労働経験者として、 時間外労働120時間/月・1000時間/年を体験した2シーズンを振り返って記事を書きました。
2シーズンの経験を比べることで、
・私のメンタル不調の主原因
・危険性の高いブラック労働状態
が見えてきたという記事です。
ブラックな労働を振り返る〜考察〜メンタル不調に至る要因とは?
そのまとめはこのような事だったのですが、
・長時間労働による疲労がある
・異なる性質・複数の心理的ストレス要因がある
・仕事のコントロール性が低い
・ストレス緩衝要因がない
これとは別にヘルスケアの観点から参考になる経験を思い出したので紹介させていただきます。
それが何かというと、「弱い自分を受け入れる・受け入れない」ことに関する2つの経験です。
1つは弱い自分を受け入れることで精神的な負担が軽くなったという経験。そしてもう1つは、弱い自分を受け入れられなかったことで感情のコントロールを失い休養に至った経験。
この2つの経験から、弱い自分を受け入れることがメンタルヘルスに良い影響を与えることを実感しました。逆にこれができないと、本来必要のないストレスを追加で抱えてしまうことになりかねません。
ということでこの記事では、弱い自分を受け入れることはメンタルヘルス的におすすめですよという話をさせていただきます。
特に能力に自信がある人や、自分自身に強いプライドを持っている人はこれができずに自分で沼にハマる危険性が高いので、気を付けてください!
弱い自分を受け入れることは有効なスキル
弱い自分を受け入れることとは、自分自身が「弱い」と考えてしまうような状態になっている自分自身を、そのまま受け入れることです。
そのまま受け入れるとは、「弱い」「本来の自分ではない」というような評価をしたり、レッテルを張ったりしないこと。
簡単に言えば、そのままの状態をありのままに認めることです。
心理学では自己受容と言われる考え方です。
これが簡単なようでいて難しいことですが、メンタルヘルスの観点からはとても有効なスキルです。
その理由はとても明確で、これが出来るようになることで次のメリットが得られるからです。
・追加ストレスの発生を防ぐことができる
逆に言うと、出来ない場合には次のデメリットが発生するおそれがあります。
・本来必要のない追加ストレスを抱える
私自身がどうなったかというと、弱い自分を受け入れられないことで必要のない追加ストレスを抱えることとなり、感情のコントロールを失うに至りました。
自己評価が正当にできる。
「弱い」という思考は相対的な評価です。どこかに基準を設定していて、それと比べて劣っている・低くなっているときに「弱い」という評価を与えます。
基準とは、目標設定と言ってもいいかもしれません。
例えば今の自分よりも高いところに設定すると、自分にストレスを与えて成長を促す効果が期待できます。
だから割と無意識にやっていることだと思います。
しかし効果の裏返しとして、評価の基準が「設定された目標」になるため、そこに届かない場合にすべての評価が「低い」「未達成」になるというリスクを抱えます。
スタート地点から前に進んでいても、ゴールに届かない限りその過程が一切評価されないという状態になるわけです。
最初から比べたら進歩していたり、そもそも最初の時に能力を備えていたりしても、それらは一切評価されません。
ゴールに届かない=全て意味がない
というようにバッサリ切って捨てられます。それ以外の全てを評価しないという姿勢ですから、自分自身に対して正当な評価を行うことができません。目標に達しない限り、いつまでもストレスを抱えることになります。
一方、自分自身の弱さを受け入れることが出来た場合は大きく異なります。
「目標設定」からの相対評価から解き放たれ、自分自身を客観的に評価することができるようになります。
自己評価の視点を「目標」に置いていた時には見えていなかった、自分の能力や成果が見えてくるようになります。それに対して評価できる点は評価し、至らない点は反省することができるようになります。
つまり、正当な自己評価が行えるようになるわけです。
追加ストレスの発生を防ぐことができる
基準になる「目標」と比べて「弱い」「劣っている」と自分自身が評価したとき、人間の体は自分自身でストレスを作り出します。
ストレスを発生させることで「闘争」または「逃走」を促すという生理的作用が働くんですね。
元気な時ならこれを成長の力に変えることも出来ます。しかし自分自身が弱っている時というのは、何らかのストレスを既に抱えています。ストレスによって身体的・精神的な症状が出ている状態だからです。
その時にこの作用が働くとどうなるでしょうか?評価によるストレスが追加されることになり、さらに症状を悪化させることになります。
自分自身を「弱い」と評価する
↓
自分自身で追加ストレスを作り出す
↓
ストレスで弱る
↓
自分自身をさらに「弱い」と評価する
↓
さらに追加のストレスを作り出す
↓
……
というようにストレスの悪循環が生じます。「闘争」あるいは「逃走」ができる状態であればいいですが、そうでない場合はただ一方的にストレスを重ねていくことなります。
とても危険な状態です。
一方、自分自身の弱さを受け入れることが出来た場合はどうなるでしょうか。
自分自身を不当に「弱い」と評価しなくなるので、悪循環の最初の原因になっている「追加ストレスの発生」を防ぐことができます。そうすることで、そこから雪崩式に発生するストレスの悪循環を防ぐことができます。
ストレスの悪循環が本来発生させる必要性がないものであることを考えると、この効果はとても大きく、かつ有用であることが分かります。
弱い自分を認められなかった自分自身のエピソード
私自身のブラックな労働経験を振り返ると、ブラックに過ごした2シーズンでこのような違いがありました。
- シーズン1:
弱い自分を受け入れられなかったことで感情のコントロールを失い休養に至った - シーズン2:
弱い自分を受け入れることで精神的な負担が軽くなった
弱い自分を受け入れられずにどう苦しんだのか、また、受け入れることが出来るようになったことでどう変わったのか、この視点から私自身の経験を紹介させていただきます。
まずはシーズン1から。
「自分は出来る」と信じていたシーズン1
特に大きな挫折を経験したことがなかった私は、自分自身を「出来る人間」だと考えていました。また、責任感という言葉に重きを置き、「与えられた仕事は自分自身で処理する」ということにこだわりを持っていました。
これにより自分自身を奮い立たせ、仕事をこなしてきたという実績もあったと自負していました。
シーズン1では難度の高いものを含めて多量の仕事を抱えることになりました。自分ひとりが長時間の労働をすることで対応していましたが、対応に追われる状態に自分自身を「弱い」「なぜもっと早く処理できない」と評価するようになりました。
また、重なる長時間労働によりストレスが発生し、身体的症状・精神的症状が発生するようになると、そのことも「弱い」と考えるようになりました。
このことで追加ストレスを自分自身で作り出し、さらに自分自身を弱らせていきました。
心療内科で「うつ状態」だと診断されたときも、自分自身でそのことを受け入れられませんでした。自分は強いはずだ、頑張ってきたはずだ、そんな自分がうつ状態になるわけがない…その考えが更に強烈なストレスを生み出し、最終的に自分自身の感情のコントロールを失い、職場で泣き崩れて立ち上がれなくなりました。
弱い自分を受け入れられないことで、ストレスの悪循環を発生させた状態だったといえるでしょう。
ブラックな労働を振り返る〜シーズン1〜こうして私はメンタル不調になった
「自分の弱さ」を受け入れたシーズン2
シーズン1での経験を踏まえ、次のことを心掛けていました。
「自分には限界があるので許容量を超えた仕事は受けない」
「受けた仕事は整理・分業し、できるものは他人に任せる」
つまり「自分自身の弱さを受け入れたうえで、必要な対応を取る」という姿勢に変化していました。
このため、苦しんでいる自分自身に対して「弱い」「もっと出来るはずだ」という追加ストレスを自分自身で発生させることはありませんでした。
むしろ「自分自身でやれることはやっている」「自分は頑張っている」と評価することができていたと思います。
自分の限界を認めるということは、自分自身の能力が届く範囲を知っているということ。
自分がやるべきことをやっているかが分かるため、正当な評価を行うことができました。このことでストレスを緩和できていたと思いますし、また、他者の力をソースとして活用することの必要性も自然と認識することができました。
自分自身の弱さを受けいれられたことが、ハードワークだったシーズン2を乗り切ることができた理由の1つだったといえるでしょう。
ブラックな労働を振り返る〜シーズン2〜ハードワークを乗り切った
この経験からも、やはり「弱い自分を受け入れることはメンタルヘルス的に有用」だと言えます。
まとめ
以上、弱い自分を受け入れることはメンタルヘルス的におすすめですよという話を私自身のブラック労働な経験を踏まえて紹介させていただきました。
自分自身の今を認めることができなければ本来必要のない追加ストレスを発生させ、ストレスの悪循環に陥っていく危険性があります。
逆に自分自身の状態をそのまま受け入れることができると、追加ストレスの発生を防ぐだけでなく、正当な評価を行うことでストレス緩和を行うことも出来るようになります。
弱い自分を受け入れるスキル。
メンタルヘルスの観点からとても有用なスキルなので、ぜひ意識して身に付けるようにしていただければと思います。