霧島もとみです。
私はどっちかといえば温厚な性格を自負していて、そうそう他人に対して怒ることはありません。
社会生活の中ではそれが特に強く出ているようで、自然と「腹が立たないモード」にスイッチが入ってしまい、怒るような事は本当に少ないです。
ところが久しぶりに、そんな私の怒りモードをドン!と呼び覚ました人間が現れました。
とある車のディーラーの営業です。
この温厚な私の心を、
「こいつマジか?」
「絶対にお前から車は買わねーよバーーーーーカ!!!」
と強くキレさせてくれました。
一体私はどんな事に怒りを覚えたのか?
今日はこの出来事を紹介します。
それだけではつまらないので、本来はこういう風にして欲しかったのではないのか?こんな営業をするべきではないのか?という考察を添えますので、どうぞよろしくお願いします。
強烈な怒りを覚えたエピソードとは
その日私は、車の定期点検でディーラーに行っていました。
10年近く乗っているお気に入りの愛車は走行距離6万㎞程度のミニバン。
これまでに大きなトラブルもなく、まだまだ乗るぞーという感じで車とは付き合っていて、そのための定期点検でした。
点検自体は何も問題なかったんですけどね。
企画で「車の査定キャンペーン」みたいなのをやっていたんですよ。待っている間に査定をしてみませんか?査定額を予想してニアピンなら景品を、外れても粗品をプレゼントします…という企画です。
まあ、販売に繋げるためのキャンペーンですよね。
かといって特にデメリットもありません。「せっかくなので良かったら…」とお願いされたので、快く査定を受けることにしました。
といっても10年落ちの車。下取り価格なんてまあ知れてまよ。深く考えず、とりあえず新車価格の10分の1程度の金額を予想に書いておきました。
そして点検終了後、査定の額を伝えるために私の担当営業がやってきました。そこで示された査定額は予想を大幅に下回るものでした。
なんと、
2万円。
「えっ?」と思いました。
あなたの車はたった2万円ですよ。
そう告げられた私は、軽くショックに震えました。
しかしすぐに落ち着きました。まあ待てよと。
そもそも売るつもりはないし、あくまでディーラーの下取り価格としての査定だから気にする必要ないよな。そう考えたからです。
車は全然問題ないんですよ。快適な走りができて、安全に家族を乗せて走ることができる。10年落ちにしては割と綺麗だし、むしろ自分としてはカッコいいとすら思ってるんです。
あ、そうだ。下取り価格が安い以上は乗れるだけ乗るのが経済的にもメリットがあるってことだよね。やっぱりこの車とは長く付き合っていこう…。
そうやってショックから立ち直ろうとしていたその時です。
営業が、いらない一言を投げてきました。
「せっかくなので買い替えとか、どうですか?」
・・・
ハア?それどういう意味?
私の怒りのガソリンに一気に火が付きました。
私が怒りを感じた理由
私が怒った理由を整理してみましょう。主に2つです。
怒りの理由その1:感情を無視された
1つ目は、私の感情を無視されたと感じたからです。
態度に出ていたかどうかは分かりませんが、愛車の査定額が2万円と聞かされた私はショックを受けていました。
悲しい気持ちになっていました。
大切に思っていたものが低く評価された悲しみに打ちひしがれていました。
この悲しい気持ちを誰かに分かって貰いたい…。そういう状態だったんだと思います。
ところが目の前の営業から言われた一言は「せっかくだから買い替えませんか?」という100%営業の都合でしかない言葉だった。
私の感情なんて完全無視です。何なら逆です。私の悲しい、痛む心情に追い打ちをかけるような言葉です。
オイオイ!俺の悲しい気持ちはお構いなしかよ。
私はそう感じ、怒ったのだと思います。これが1つ目の理由です。
怒りの理由その2:理論の通らない話をされた
営業は「せっかくだから買い替えませんか?」と言いました。
この状況で、何が「せっかくだから」なんでしょう。
下取り価格が安いことが買い替えの理由になるんでしょうか?違いますよね。私はこの理屈が全く分かりませんでした。
10年落ちですけど、車の状態は問題ない。走行距離も6万㎞とまだまだ走れる。本人も気に入っている。
そして下取り価格が2万円しかない状態。
これ、客の立場からしたら「それなら大切に長く乗っていこうっと!」て思うシチュエーションじゃないですか?経済性の論理から言えば買い替えなんて0%の状況じゃないですか?
それが「せっかくだから?」
どういう理屈なんだコノヤロー。
下取り価格が予想を遙かに上回って「今ならこれくらいの下取りでやれますから、この機会に買い替えを検討してみたらどうでしょうか?」なら分かりますよ。
でも!2万円の下取り価格でどうやって買い替え気分を上げろというのか。その理屈、全く理解できないよ!!という理不尽に益々怒りを感じたんです。これが2つ目の理由です。
こうして私は、
「こいつマジか?」
「絶対にお前から車は買わねーよバーーーーーカ!!!」
というレベルの怒りを覚えた訳です。
怒りが度を過ぎて、この営業は、こんな接客をしていて車を売れているのか?よくクビにならないな?と要らぬ心配さえしてしまいました。
この怒りはアリ?ナシ?
この怒り、アリでしょうか。ナシでしょうか。
こうやって文章化してみると、何だか些細なことに怒ってしまったような気もしなくもないです。ほんの少しだけですけど。
でも車好きなら。
車に愛着を持っている人なら。
きっとこの怒りは理解していただけるんじゃないかと思います。
さあこの怒りは、アリ?ナシ?
うん。
やっぱりアリですよね!!
アリアリアリアリ、
アリーヴェデルチ(さよならだ)!!
ですよね!!
急にジョジョの奇妙な冒険を挟んですみません。
ということで私は怒ってしまった訳なんですけど、ただ怒らされただけじゃ感情が消耗するだけで勿体無いです。
ということで。
この機会を自分の成長に変えるべく、
- どうしたら私を怒らせずに販売機会につなげることが出来たのか?
- どんな言葉をかけるべきだったのか?
という事を考えてみることにしました。
私が営業だったらどうする?
怒りを覚えたということは、逆に言うと、そこに私の心理的なニーズがあったということです。
そこを的確に捉えて営業できれば、今回は無理だとしても、将来的な機会に「この人から車を買おう」と思ってもらえるのではないか。私はそう考えました。
まず1点目の怒りは「感情を無視された」ことが理由でした。
感情が無視されたら誰だって怒りますよね?
この対応策は「共感」です。
私の感情を推測し、見抜き、共感の言葉を投げかければいい。少なくとも私はそうして欲しかったという心情があったはずです。怒りの裏の心理です。
だからまず、こう言いましょう。
「こんな査定で申し訳ありません。きっと残念なお気持ちになっているんじゃないかって思います。私だったら、えっ、状態良いのに、もっと価値あるじゃんって思いますから。でも、これはあくまで下取りとしての査定ですから、車の価値とは全然別の話なんです」
こう言われたら、
「あっ、この営業は俺の気持ちが分かってるなあ」
って私は思っちゃいますね。
次に2点目の怒りは「理論が通らない話をされた」ことが理由でした。
感情が逆撫でされている時に、思考回路に新たなストレスを与えられたら絶対に怒りが湧いてくるはずです。少なくとも私はこれで完全に怒ってしまいました。
この対応策は「理論」です。
理論的に話して、ストレスを出来るだけ軽減させてあげましょう。
「低い査定額+車の状態」から論理的に導かれる提案をすれば、ふむふむなるほどと納得してもらるでしょう。論理的に考える客なら、同じく論理で提案できる営業への信頼も増すはずです。
だからこう言いましょう。
「車の状態は全然良いですから、経済的に考えると今は出来るだけ長く乗る方がメリットがあります。そのサポートはさせていただきますので、大切に乗ってもらった方がいいと思います」
どうせすぐに買い替えなんてしないんですから、こうやって営業への信頼を得た方が絶対にメリットがあるはずです。それに今すぐの販売には繋がらなくても、点検や修理とかでの売り上げは見込めますよね。
もしこのように言われていたら、査定額2万円というショックから立ち直り、「ちゃんと車のことを考えてくれている!」「話が分かるディーラーだなあ!」「またここにお世話になろう!」と気分良く帰ることが出来ていたと思います。
まずは共感。
次に理論的な提案。
そして信頼を得る。「この人から車を買いたい」と思ってもらう。
営業はこれをやるべきでは?というのが今回の怒りから得た学びでした。
最後まで読んでいただきありがとう…いや、アリアリアリアリアリーヴェデルチでした!!