ここまでの章で「ものの見方・考え方」そして「困難に立ち向かうための技術」が紹介された。
最終章は「勇気」。
なぜ勇気なのだろう?またもや疑問が湧いた。最後を締めくくるファクターとしての「勇気」は、とにかく頑張れ的な、ざっくりとしたメッセージではないのだろうかという印象を受けたからだ。
けれど違った。
第五章の「勇気」では、
- 失敗を恐れずに挑戦しつづける勇気
- あえて自分にプレッシャーをかける勇気
- 相手に要求をする勇気
- リーダーを目指す勇気
- 自分の信念や志に基づき行動する勇気
- 批判に負けず挑戦し続ける勇気
が紹介されている。どれも厳しい言葉であり、簡単には実行できなさそうな事ばかりで思わず怯んでしまう。
だが、なぜ最後に「勇気」なのか。
最後まで読んだときにふとその意味に気がついた。
これまでの章で紹介してきた「ものの見方や考え方」、「困難に立ち向かう技術」を身に着けたとしても、最終的に実行をしなければ決して自由を摑むことができない。
必要なのは実行。
その時に必要なのが、勇気。
言葉では簡単だが、実行が難しいのも勇気。
だからこそ、勇気を身に着けて、前へ進んで欲しいというメッセージを込めて最終章を「勇気」にしたのではないだろうか。
それを象徴しているのが最後の二文だ。
僕も先へ行って、あなたに必ず背中を見せる。共に切磋琢磨していこう。
「持たざる者の逆襲」P162
まさに背中を押す言葉であり、溝口さんの応援する心が込められた言葉だ。
ふと思った。
勇気とは、自分の中から絞り出すものではないかもしれない。
「気」とは、流れるものを表す。
勇気は自分以外の人間から呼び起こされるものなのかもしれない。
だとすると、「持たざる者の逆襲」を通じて溝口さんがしたかったことは、読み手の勇気を奮い立たせることだったのではないだろうか。
そう思うと、少しだけだけど、勇気が起き上がってくる気がする。
この感覚、大事にしたい。